1ー1

春、うらら。


今宵の、月桜は、綺麗だろうか。


『私の…心も、踊るのかな』


聞いてみたい…。


あの方の、微笑みながら、曲に、浸っている姿。


これは、我儘だろうか。


『春…。東方守護神『青龍』の管轄。春雨とは、よく、言ったものね。春と秋は…逆だもの…』


それは、知っています。


春は、桜の聖霊達が舞う。


色鮮やかな花吹雪を吹かせながら、御殿で舞う姿は、魅せられる。


『秋は…西方守護神『白虎』。彼等は、風を操る。そして、秋に咲く桜もある。秋の桜と書き…』


「秋桜(こすもす)。冬は、北方守護神『玄武』。それから、不思議な力があり、冬にも咲かせる桜が、存在する」


-…冬桜(ふゆざくら)。


因みに、夏は、南方守護神『朱雀』。


無論、夏にも桜が存在する。


「葉桜(はざくら)。それが、夏の風物詩。桜とは、四季を、唯一感じられる植物だなと…私自身が思います」


届いて居るんだろうか。


-…姫。


『守護する者を教えてくれた人』


その、中心にいるのが、十五龍神が、一人である『黄龍』。

一度だけ、目にした事がある。彼ほど、素晴らしい光を放つ者は見た事がない。


『黄龍』と、言えば、治癒を使う事が、出来るそうな。四神の長と言えば解るだろうか。

私も、お世話になった事がある。


『…桜の精よ、私の妹は、もっと、凄い奇跡を持っていますよ。何時か、下界で、逢う時は、担当が決まっています…。で、貴方は…裏ですか?表ですか?』


丁寧語が、自棄に、恐ろしい。


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