私の母の再婚相手とその娘は!?

  七海さんに促され、これまた高級そうな椅子に座るのを躊躇いながらも、お母さんが気にせず着席したのを見て私も席についた。


「いやぁ〜!それにしても……話は聞いてたけど、杏奈ちゃんって鹿子かのこさんに本当にそっくりだわぁ〜!」


「えっ?えっと……七海さんお婆ちゃんをご存知なんですか?」


「そりゃあね!先輩の家にはよく遊びに行ったからさ!よく怒られたりもしたわぁ〜!」


お婆ちゃんに怒られた話を何故か笑って話す七海さん。

  上原 鹿子。お母さんのお母さんで、私から見たら祖母。つまり、お婆ちゃんだ。お婆ちゃんについては、また機会があった時にお話するとして


「ところで……その……こんな質問するのはアレなんですが……その……七海さんってお金持ちなんですか……?」


不躾な質問であるとは分かっていても、こんな高級レストランの特別個室を貸し切ったり、オーナーの榊さんは親しげに呼んだりと……あまりにも気になる事が多いので尋ねてみると


「別に私なんて大した事ないって。家がちょっと特別ってだけで」


「ななちゃんの家は西園寺家の分家なんだよね。で、セバスチャンさんは元々はななちゃん家の執事長をしていたの」


「西園寺って!?まさかあの西園寺ですかッ!!?」


西園寺の名前が出て驚愕する私。世界的最強企業「西園寺グループ」を運営している一族。それが西園寺家である。前に話した、同性婚の革命を起こした西園寺 遥香など、様々な分野で活躍している事でも有名な一族である。分家筋とはいえ、その西園寺家に連なる家ならこの待遇具合も納得な話だ。


「まぁ、そういう事。私なんてそう大した人物じゃないって」


「そう言ってるけど、ななちゃんはあのNGC芸能事務所の社長さんなんだよ」


「ぶふッ!!?NGC芸能事務所ぉ〜!!?」


NGC芸能事務所の言葉が出て驚愕する私。だって!あの!「ARRY」が所属する事務所よ!?その事務所の社長さんが!?まさか私の母の再婚相手になるなんて想像出来る訳ないでしょ!?


「ん?杏奈ちゃん。西園寺家よりも随分と反応が大きいねぇ〜」


「いえ!?あの……それは……!?」


「杏奈ちゃん。その事務所に所属してるタレントさんが大好きだもんねぇ〜」


「ちょっ!?お母さん!?」


「ARRY」の名前を出してないとは言え、私がその芸能事務所に所属している「ARRY」が好きだというのアッサリバラすお母さんに慌てる私。


「そっかそっか!うんうん!私も社長として、身近にうちに所属している子のファンがいるなんて嬉しいよ!で、ちなみにどの子のファンなの?今流行りの韓流イケメングループのBEESUN?それとも、女性アイドルグループJKS50?」


「いえ……その……それは……!?」


私が自身が運営している事務所の子なファンと知り、グイグイと迫るように聞いてくる七海さん。最初は言い淀んでいた私だったが、その勢いに負け


「えっと……その……私……「ARRY」のファン……です……」


私が素直にそう告白すると、七海さんの顔が先程とは打って変わってキョトンとした表情になった。


「えっ……まさか……ご存知ありませんか……?」


「いや、知ってるよ。それはもう知りすぎてるぐらい」


あまりにキョトンとした顔をするので、思わず変な事を聞いてしまったが、流石にそんな訳ないわよね。だって!あの「ARRY」なんだもの!社長である七海さんが知らないなんて事あるはずがないわね!


「いやあぁ〜……まさか「ARRY」のファンとは……これはもしかして……この後驚きすぎて腰抜かしちゃうかもねぇ〜……」


七海さんが何かを言っていたが、扉をノックする音がして、私達の意識はそちらに向いた。


「お嬢様。娘様をお連れしました」


扉の向こうで榊さんがそう言ってきたので、七海さんは


「ん。ありがとう!セバスチャン!」


と、扉の向こう側にいる榊さんに声をかけると、榊さんはすぐに扉を開けた。

  扉を開けた榊さんの横にいた人物を見て、私は先程よりも驚愕して、思わず腰を抜かしそうになった。だって……その人物は……


「えっ……?上原さん……?」


「えっ……?西村さん……?」


向こうも私を見て驚いているが、多分驚愕度は私の方が大きい。だって……その人は……私がこの世で最も推している「ARRY」こと、西村 有紗だったんだから……

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私の推しはクラスメイトで義妹!? 風間 シンヤ @kazamasinya

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