レギア
競馬好き
20年前
「ああ、そうだ。龍魔融合炉の真下に魔力反応が出てるんだ。確実になにかある。すぐに調べてくれ」
『マックス。君が優秀なのはわかるが、そんなことはありえない。この施設が建設された時にちゃんと地下の調査もしただろ?この前まではそんな反応なかったんだよな?なら装置の異常だろ。何も心配することはない』
「アレックス、待ってくれ!クソッ!!」
龍氣学者であるマックス・チャートは、龍魔融合炉の直下10m付近に巨大な魔力反応を発見し、同僚であるアレックスへと電話をかけた。しかし、そんなことはありえないと電話を切られてしまった。魔導車のハンドルを叩き、怒りをあらわにする。
「マックス、そんな汚い言葉使わないの、私が調査に同行するから、ほら深呼吸して、そんな感情で運転してたら事故を起こしてしまいますよ」
「ああ、すまないユリ」
妻であるユリはマックスをなだめ、運転に集中することを促す。その後、ユリは魔力反応のグラフを見て、とあることに気づく。
「あなた、これ見て」
「なんだ?」
「この兵器だったら魔力反応って一定になるわよね?」
「ああ、そうだが?」
「この部分だけ、ノイズみたいなのが入ってるの」
「なに!?」
マックスは一度車を止めると、グラフを見る。
「まさか何かが龍魔を吸収してるってことか?そんなことができる生物存在するのか?」
「生物は、困難や問題、種存続の妨げになるものが起これば、進化や退化という方法を使って道を見つけ出すわ。龍魔をエネルギーにできるよう進化した生物がいるのかも。でも、本当にただのノイズかもしれないわ、とにかく、調査にいかないと」
「ああ、飛ばすぞ」
アクセルを踏み込み、龍魔力発魔所へと急いで向かう。
「マックス、話が!」
「わかってる今気づいたんだろ?」
「ああ、さっきはあんなこと言ってすまない」
「そんな謝罪はあとだ、今からユリと調査に向かう。防護スーツを用意してくれ」
「わかった」
発魔所に着くやいなや、アレックスに防護スーツの準備を頼み、ユリとともに管理室へと向かう。
「今すぐ龍魔炉を止めるんだ!メルトダウンを起こすぞ!」
マックスは指示を出し、龍魔炉を止めさせる。ユリはというと、グラフを解析するよう職員に頼む。そこへ、防護スーツの準備を行っていたアレックスが戻ってくる。
「マックス!!準備ができた!!」
「ユリ!」
「ええ!」
防護スーツに着替えると、二人は、龍魔炉へと急いで向かう。
「ほんとになにかいたらどうするの?」
「わからない。前例がないし、場所が場所だ、退治しようにも危険すぎる」
龍魔融合炉周辺の周辺に現れた生物の駆除の前例などない。駆除業者を呼んだとて、破損すれば、防護スーツを着ていても5分も持たない場所へと変貌する場所で、駆除なんてものができるはずもない。
マックスが、対処について模索していると、龍魔融合炉へとたどり着いた。
「なんだ、これは・・・」
「ありえない・・・」
龍魔融合炉には、奇妙な触手が絡みついており、光りとともにドクンドクン脈動していた。
「生き物、なのか?」
「わからないわ」
すると、ミシミシという音とともに、触手が融合炉を圧迫し始めた。
「逃げろ!!」
マックスがそう叫ぶと、二人は走り出す。
後方では、触手がさらに融合炉を締め上げている。すると、けたたましい警報が鳴り始め、アレックスから通信が入る。
『なぜだかわからんが、融合炉に亀裂が入った!!今すぐそこから逃げろ!!』
「もう逃げてる!!それと、亀裂の原因がわかったぞ!!何かが融合炉からエネルギーを吸い上げていた!!!」
『なっ!?そんな事がありえるのか!?』
「ここはもうじき危険区域になる!お前も逃げろ!!」
『マックスたちはどうするんだ!!』
「私達もすぐに逃げる!!ゲートを手動にして置いてくれ!!!」
『了解した!!幸運を祈る!!』
何かを操作する音が聞こえると、通信が切れる。その間も、二人はとにかく全力で走る。しかし、猛毒の龍氣を含んだ煙が、すぐそこまで迫ってきてしまっている。
すると、動きづらい防護服を着て走っていたのか、ユリが転んでしまった。
「ユリ!!」
「行って!!早く!!」
「くそっ!」
ユリの言葉に従い、マックスは、歩みを進める。後ろを見ると、煙に飲み込まれるユリの姿があった。ユリの無事を確かめようと、通信機を弄り始めたとき。
ドガァァアアアァアアン!!!
爆発音が聞こえ、爆風と衝撃波により、マックスは吹き飛ばされ、そのまま気絶した。
「ウァッ」
マックスが目を覚ますと、そこは病院のベッドの上であった。
「マックス!」
「アレックス・・・何があった?」
マックスが窓を見ると、遠くにある龍氣発魔所が大火災を起こしているのが見えた。と、同時に、ユリのことを思いだした。
「アレックス!ユリは!!ユリはどうなった!!」
「マックス・・・。ユリは・・・」
「そんな・・・」
マックスは、ベッドに拳を叩きつけ、涙を流す。
「父さん?」
そこに、息子のマークが現れる。
「マーク・・・」
マックスは、マークを抱きしめる。
「母さんは?」
「すまない、すまないマーク」
マックスは、マークに謝り続けた。そして、自分の不甲斐なさを呪い、そして、融合炉にいたなにかを見つけ出すことを決意した。
レギア 競馬好き @1105keiba
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