第3話
「すきなことってある?」
となりのつくえの女の子がしつもんしてきた。
「すきなこと?どうしてそんなこときくの?」
「だって、となりのつくえじゃん。となりのつくえなんだからはなそうよ。なかよくなりたいから、いいでしょ?」
そして、女の子は一まいの紙をわたしてきた。
「なにこれ?」
「じこしょーかいカード。これにじぶんの色んなことをかいてみて」
その紙をよく見てみた。あかいカードだった。しかくのらんがいっぱいあって、その中に「あなたのすきなことは?」とか「あなたのすきなおんがく」とか、そんな文字がかかれている。
「かかないといけないの?」
「あなたとともだちになってみたいから、おねがい!」
ともだちになってみたいから。そのことばがあたまの中にのこった。いやな気もちはしなかった。
「いいよ、かいてあげる。でもそのまえにあなたの名まえおしえてよ。なんてよんでいいのかわかんないから」
「わたしの名まえはね、えーっと、はづきくるみって言うの。よろしくね」
「ありがとう。わたしの名まえはほし……」
「ちょっとまって。名まえはその紙にかいてよ。そのほうがわかりやすいし、紙をつかえるでしょ」
紙をよく見ると「あなたの名まえは?」と書かれているぶぶんをはっけんした。
「ほんとだ!」
えんぴつをもって、わたしの名まえを紙にかいた。「ほしかわゆうな」と。
そして、書きおわったら紙を女の子にわたした。
「これ、わたしの名まえ!これからもよろしくね!」
公園に着いた時、胡桃は泣きながらブランコに座っていた。
「ごめん!待たせた!」
彼女の目が腫れているのを確認した瞬間に足が走り出していた。慌てて彼女の側に向かった。
「これ、ハンカチ」
胡桃に手渡すと、彼女は涙を拭いて顔を上げた。目の周りは赤く腫れていて、鼻水と唾液が溢れていた。気になったので唇に付いた唾液を拭いてあげた。
「それで、何で泣いてるの?」
確かに彼女は泣き虫だ。何かある度に泣いているような気がする。それでも、今はいつもと違うような気がした。午後六時にいきなり公園に呼び出されるなんて、未だかつて無い経験だ。
「あのさ……私って優菜から見てどうなの」
「どうなのって言われても……大切な親友だし、真面目な子だなって思うよ。よく難しそうな本読んでるじゃん。ニーチェとか、ドストエフスキーとか。私ってそんな本を読んだことないから尊敬するよ」
「……やっぱり」
小声でそう呟くと、彼女は不服そうに顔を俯いた。
「やっぱりって?」
「前々から悪口言われてるんだよね。黙ってたけど……気づいてた?」
「悪口って誰に言われたの」
「明日花たちのグループ。あいつら、多分私のことが気に食わなくて悪口言ってる。私に聞こえるように言ってるの」
「言ってるって……確証はあるの?」
「あるから今話してるんでしょ!」
突然の大声にたじろいた。大声を張り上げた彼女の声なんて聞いたことが無かった。
「……ごめん。流石に配慮が無かった」
「うん、こっちこそ怒ってごめん……それで、明日花ちゃんたちは私が真面目なことが気に食わないんだと思う。前引き出しに入れてた本があいつらによって荒らされてたし」
そう言いながら彼女はポケットから一冊の文庫本を取り出した。胡桃がいつも読んでる本『ツァラトゥストラはかく語りき』
本のページがぐちゃぐちゃに折れ曲がっていた。明らかに人の手によって折られたようにしか見えない。到底読むには難しそうな惨状に仕上がっていた。
「こんなことやる人なんてあいつらしかいないでしょ」
「……だね」
「先生に言ったところで証拠は無いから確実に無視されると思うんだ。しかも、もう私たちは卒業間近でしょ。あと二ヶ月ちょっとで中学校に上がる人達の相手なんかするわけ無いでしょ」
「多分そうだね」
「でさ、私考えたんだよ。このキャラのまま中学校に入学したら今の比にならないぐらいにいじめられるんじゃないかって……公立中って治安悪いって聞くじゃん……だから、入学を機にキャラを変えようかなって」
「キャラを変えるってどういうこと?」
「明日花たちのキャラに合わせるの。中学校に入学したら他の学校の子達も入ってくるでしょ?だから、その子達と仲良くなったらあいつらも手を出せないはず。あと、私を憎む理由も無くなる」
「……胡桃はそれでいいの?それで満足?」
「まだわかんない……わかんないけど、やってみないとわかんないから。だから、協力してほしい。優菜はそのままでいいけど、でも私は変わらないといけないから、今から入学するまでの間協力してほしい。あと一ヶ月で春休みだしね」
「胡桃が良いんだったら、私も協力するよ」
どうして変わる必要があるの?胡桃は胡桃のままでいいのに。
なんて言葉は声に出せるはずが無かった。彼女が決断したのだから、私が口出ししたところで変わるはずが無い。
「……そうして、葉月胡桃の没落は始まったのかな」
・一人称を「アタシ」にする
・インスタとティックトックを始める
・化粧を始める
・学校では本をあまり読まないようにする。読んだとしても、ベストセラーの本や流行りの本を読むように心がける
・彼氏を作る
・スイーツを食べる
・外に遊びに行く
・会話を合わせる
「基本これを心がけたら大丈夫じゃない?」
メモ帳に書かれたリストを見ながら、胡桃に助言をする。
春休みの期間中を使ってキャラを変えよう!計画は絶賛始動中で、彼女は一週間に何回かは私の家に来て練習をしている。明日花たちになる練習を。
「優菜がそう言ってくれたら自信がついたよ。方向性がある程度見えてきた気がしたから」
私が助言をすると、彼女は嬉しそうな顔をして微笑んだ。
胡桃の個性が一つ一つ消えていく。
「明日花たち」を目指すために自分の個性を潰し、ありきたりな人間へと変貌していく。
耐えられない、吐きたい。
ネガティブな感情が湧き上がってくるけど、その気持ちを堪えて平然を装う。胡桃からすれば私は協力的な人間なんだから、この春休み期間中は協力的であればならない。
「じゃあある程度方向性も見えてきたしさ、外に行こうよ。実践だよ実践。何事も実践は重要。ソクラテスもそう語ってた、でしょ?」
手を引かれて外に連れ出された。向かう場所は街の中心。走っている彼女の足を引き摺らないように、私も続いて足を進める。
走ってちょっとすると、カフェやレストランや百貨店などが立ち並ぶ風景が見えてくる。歩いて行ける距離に街があると、こうして衝動的に街まで行くことができるから便利なのだ。つくづく、土地柄の利便性を思い知った。
「それじゃあさ、どこ行く?わた……あっ、アタシはカフェに行きたいな」
辿々しい彼女の声を聞くと少しだけ微笑ましくなる。と同時に、悲しくもなる。
キャラが定着していないのに、無理に自分とは程遠いキャラを演じている姿は可愛らしい。けど、時間が経つと今までの胡桃が消えて、このキャラを上手く演じられるようになるんだろうな、と思うと悲しくもなる。
「いいよ。カフェ行こっか」
現在地から徒歩数分の場所に学生御用達のカフェがある。いかにも学生向けの風貌で建っており、私達よりも「明日花たち」が行くようなカフェであった。インスタに載せるためだけためだけの見た目が派手なデザートと飲み物がメニューに載っているようなカフェ。
駄弁りながら歩いているとあっという間に到着した。黒色が基調の建物は私達からは程通り「高級感」を想起させて、入るのに躊躇しそうになった。けど「これは胡桃のためだから」と何度も呟くことで、逃げ出したくなる気持ちを抑えた。
いらっしゃいませー!
ドアを開けた瞬間にやる気のある女性店員の声が店内に響き渡る。
中は広く、お洒落な装飾で彩られていた。まるで自分がヨーロッパに迷い込んでしまった子供に思えた。文字と話されてる言語は日本語のおかげで安心したが。
適当な席に座る。私が座った右側はガラス張りされていて、すぐ横に外の世界が広がっている。逆を言えば外からも私達の姿が見えるわけで心が落ち着かない。
「ご注文はどれにしますか?」
メニューを眺めていると店員さんが飛び込んできた。いかにも、このお洒落なカフェで働いている女性店員っぽい容姿の女性。
「私はこのホットココアとカルボナーラで。胡桃はどうする?」
「あっ、アタシは……ええと……この、カフェモカとデミグラスオムライスで……」
「かしこまりました!少々お待ちください!」
そう言って女性店員は颯爽と奥の方に姿を消した。
胡桃の顔を見ると、緊張でがくがく震えていた。真夏日でも無いのに汗がどろどろ流れていて、少し笑った。
「ひどい、なんで笑うのよ」
「いやぁごめんごめん……だって、冬なのに汗かいてるんだよ。その姿が面白くて……」
「アタシだって緊張してんだよ。この喋り方も、このカフェで注文をすることも」
「次からは気をつけるって。ごめんね」
しばらくすると注文していた食べ物と飲み物が届いた。
彼女はポケットからスマホを取り出すと、机の上の光景を写真に収めた。
「何してるの?」
「ほら、インスタにアップする写真。大体の女子は食べ物を写真に収めてインスタに上げてるらしいよ」
「へぇ、知らなかった」
ていうか、私の周りには胡桃しかいないから知らなくても当たり前か。
「数年前からずっと続いてる文化なんだって」
数年間も流行に乗り遅れていたのか、とタイムラグに唖然とする。私は知らないのに他の女子は知っていることって他にもあるのだろうか。そう考え始めたら、少し怖くなる。
「これでいいかな?」
確認するために、彼女は私にスマートフォンを差し出した。画面にはインスタの投稿画面が映っている。
親友と一緒に近所のカフェに来た。カフェモカって初めて飲むけど怖いな。なんていうか、不味そうで。コーヒーって不味いものだって過去身に染みたから。でもデミグラスオムライスは普通に美味しそうだね。さて、いただきます。
「なんかこう、冷たくない?」
「冷たいって?」
「いやほら、なんか文章が冷たいんだよね。こう、もっとフレンドリーな感じにしない?きっとインスタに食事風景上げるのって……親しい人ですよ、優しい人ですよってアピールする意味も込められてると思うんだよね」
スマホを胡桃に返す。
「例えばどんな風にすればいいの?」
「例えば……うーん、もっと感情を込めたらいいんじゃない?せっかく一人称が『アタシ』なんだから、いかにも楽しそうな感情が溢れる文章にしてみたら?」
「なるほどねぇ……」
ぽちぽちぽち、とキーボードを打つと再度私にスマホを渡してきた。
親友と一緒に近所のカフェに行ってきたよ!このカフェモカって飲み物は初めて飲むけど期待少々不安少々って感じかな。だって、子供の頃に飲んだコーヒーが不味すぎてトラウマなんだもん!あっ、でもデミグラスオムライスは普通に美味しそうだね。オムライスは大好きだし、期待大!
それじゃあいただきます!
「いいんじゃない?」
ちょっとくどいけど。
「ありがと。インスタに文章を投稿する時は基本的にこのテンションを心がけるね」
自分がまた一歩成長できたことが嬉しいのか、声のテンションは随分良かった。
対して、私の心には黒いもやもやができていた。彼女の個性を潰して、ありきたりな女子中学生にしてしまうことが本当に正しいことなのか。一度考え始めるとその嫌な考えがなかなか頭から離れなくて嫌になる。
「はい、投稿も終わったしいい加減食べようよ」
「だね。元々食べることを目的としてたんだから、食べないと」
手のひらを合わせて、いただきますと発する。私が発したタイミングと同じタイミングで彼女の声が揃って、少しだけ嬉しくなった。
フォークに麺を絡めて口に運んだ。
とっくに冷めていた。
ねーねー、昨日のテレビ見た?
あー、見てないかも
いい加減元気出せって。フラれたことはもう仕方ないことだろ
あのバンドの演奏がすっごく良かったんだよ!私、テレビの前で涙流しちゃってさ
俺、今日は四時に寝たわ。実質三時間睡眠でめっちゃ眠い
ずっと恋焦がれてた相手なんだよ。たった二日で回復できるわけないだろ。
昨日コンビニでカードパック出たんだけどあいつ出たわ
暇だよね。どっかに遊びに行きたいぐらい暇
えっ、見逃したんだけど。まじかー
てか昨日のインスタのストーリー見た?マジウケるんだけどさ
はぁ?それ、俺にくれよ
せめて休日にしろよ。死ぬぞ
てか乃亜ちゃんもあのバンドの良さを知ったんだね。栞は名曲だよ
クラスの女子とデート行ったんだよね、俺
来年からはもう中三なんだよ。そろそろ受験も視野に入れないとね
彼氏とデキてるんだっけ?妊娠とか大丈夫なのかな
一万円ならいいよ。譲るから
結局三万円ぶち込んだんだけどルシファーが出なくてさ
土曜日カラオケ行かない?
お前もナイプラ見たか?
てかそんなお金どこから出るんだよ
ちなみに千夏ちゃんはどこの高校に行く予定なの?
とりあえず今度失恋祝いとして奢るわ。また次の彼女探し頑張れよの意味も込めてな
そういえばあの話したっけ、前の日曜日に会ったパパの息が臭かった話
三話が好きだったな。
誰と?
お前にお金なんてあげたくないからメルカリで買うね
今の環境でルシファーなんて使うか?
えっ、聞いてない。なにそれなにそれ、もしかして例の『みなと』って垢のやつ?
あたし?あたしは……どうせ北高だよ。みんなもそこに行くでしょ?
とりあえず焼肉行こうよ、焼肉
「暇だな」
いつもなら話しかけてくれる人の姿が、今日は見えない。だから私はぼーっと机に座って本を読むことしかできないし、そのせいでやけにクラス中の会話が聞こえてくる。
ドアが開く。彼女がやって来たのかと一瞬期待したが、それは私の待ち望んでいた人ではなかった。
「ほら、全員座りなさい。ショートホームルーム始めるよ」
教室中を見渡す。やっぱり、彼女の席だけ不自然に空いていた。誰も座っていない。ただそこに椅子と机が置かれてあるだけ。
「あら、葉月ちゃんが来てないわね。欠席とかの連絡も来てないし……誰か事情知ってる人はいない?」
一斉に全員の視線が私に向いた。彼女は私に比べるとまだ友達が多い方だと思っていたけど、やっぱり胡桃と一番仲が良い人と言えば私らしい。
「いえ、何にも知りません」
「そっか、わかった。それじゃあまた後で先生の方から連絡をしますね」
「えっ、胡桃?今日の朝出て行ったっきりで帰って来てないわよ」
放課後。私は急いで彼女の家に向かった。伝えたいことがあったから、それを伝えようと思って。
でも、そこに彼女の姿は無かった。学校にもいなければ家にもいない。家を出て行ってからそれっきり。もし昨日のアレが夢じゃないとすれば、何故いないのかは想像がつく。もし私が胡桃なら、私に会わないように逃げ出している。でももし彼女は無関係で、昨日のアレがただの夢だとしたら……それはそれで大問題だ。警察沙汰になってしまう。
「……あっ、そうか。そう言えば今朝、家を出て行く前にね。胡桃が『もし優菜が来たらこれを渡してくれ』って頼まれた手紙があって……」
家に帰って時間が過ぎるのを待とうかな。その考えが行動に移る前に胡桃の母親に止められて、一枚の封筒を渡された。
「これ。プライバシーに関わるかと思って内容は確認してないよ」
「優菜へ」と大きな文字が書かれた封筒だった。のり付けが剥がされていなかったから、本当に見ていないんだろう。
「ありがとうございます。とりあえず家に帰って読んでみようと思います」
「こちらこそありがとうね。また胡桃と連絡が付いたらあなたに報告すると思うわ」
「えぇ、楽しみに待っていますね。ありがとうございました」
深々と頭を下げる。
ドアが閉まったことを確認すると、すぐに封筒を破いて中に入っている手紙を取り出した。
まず一言。昨日は本当にごめんなさい。いきなり告白した挙句、目の前でオナニーしちゃって……本当に、本当にごめんなさい。間違いなく優菜を困らせちゃったと思う。てかこの手紙を読んでるなら絶対に困らせちゃったってことだよね。本当にごめん。一生謝っても謝りきれないぐらいに、ごめん。
もしかしたらこの手紙を機に一生会えなくなるかもしれない。これは優菜次第なんだけど……でも、もし私のことが嫌いなら、これを機に関係を断ち切っても良いと思う。それぐらい昨日は悪いことをしたし……優菜にも間違いなく私への悪い印象はあると思うから。だから、私が嫌いになったらこの手紙を破り捨てて(それか燃やして)綺麗さっぱり関係を断ち切ろう。その方がお互いにとっても好都合だと思う。なんなら、今破ってもいいよ。
この手紙ではさ、私が優菜を好きになった経緯を語ろうと思う。
って言っても、一言で纏められるんだけどね。突然の恋だったってだけで。
昨日も語ったと思うんだけど、なんか頭の中で優菜と一緒に過ごす未来を思い浮かべちゃってね……結婚後の将来ってやつかな。それを思い浮かべていたら、自分の気持ちに気づいたんだよね。「私、優菜と一緒に生きていけるじゃん」って。
それに気づいたらあとは流れるように恋に落ちたの。これから先も優菜とずっとに生きていたいって思いが高まって……そして、優菜を思い浮かべながらオナニーした。
最高の快楽が溢れ出したの。今までしてきたオナニーよりも、最高に気持ちよかった。優菜に陰部を弄られている様子を想像してさ……乳首を擦り付けあって、舐め合って、クリトリスを擦り付けて……なんて、そんな妄想をしたら、今までに味わったことのない快楽が襲ってきた。気絶するかと思った。
そしてその瞬間に、完全に自分が恋に落ちたことに気がついた。
幼馴染とセックスをする妄想を繰り広げながらオナニーする私って最低だよね。今考えてもどうかしてた……いや、昨日の私の方がどうかしてたけどさ……
ちなみに昨日は、教室で二人でセックスする妄想をしながらオナニーしてた。これもまた最高だった。優菜に見られているって背徳感がもっと興奮を増大させて、凄かった。
ごめんごめん。今読み直して気づいたけど、シモの話が多かったね。
そういえば一つ決断したことがあって……私、もうキャラを演じるのをやめようと思う。明日からは素の自分のまま学校に登校して、ありのままの私で接しようと思う。多分それが一番いいの。無理に背伸びしてイケてる集団を目指したって、私じゃ無理そうだったから。それに変な男にも狙われちゃうし。
多分男子からはちょろいって思われてんだよ。五人から告白されたからね。一度も会話したことも無い男子と、授業中に一度二度話しただけの男子から。彼女を自分のステータスとしか捉えてないんだよ、ああいう奴らって。あーあ、本当に迷惑。
今日連絡も無しに学校休んじゃったけど大丈夫かな?大騒ぎになったりしてない?こう、誘拐されたんじゃないかとか、そういう話になってない?大丈夫かな。
心配だけど一応大丈夫としておこうか。
私は今日一日、あのカフェで頭を冷やそうと思ってる。大体六時ぐらいまで。
ここまで読んでくれてありがとうね。途中で破いて捨てなかったことにお礼を言いたいよ。正直破り捨てられても文句一つない文章だったと思うから。それか、もしかして読み終わった後に破り捨てる?それはそれで残酷だね。ま、手紙の読み方も破き方も破くタイミングも人それぞれだから私が口出しできることでも無いけど。
ここまで読んでくれてありがとう。それじゃあ、バイバイ。
PS
念のためにもう一度言っておくけど、六時までいるからね。
私に伝えたいことがあるなら……別れ話でもいいし、喧嘩でもいいし、仲直りでもいいし。
とにかく、伝えたいことがあるなら……六時までいるから。
変態女子中学生 私を丸裸にして 豚肉丸 @butanikumaru
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