地味メガネっ娘だった筈が豹変した幼馴染達にただただ困惑する僕

「遊びっ!かっ!?アタシとのアレはッ!ただの火遊びってわけかぁああっ!!!あんなにっ!あんなに熱かったのにっ!アタシの火照りが!真っ赤なちぃいしいぃおおおおおおっっっ!!??」


 玄関のゴツいドアに挟まりながら、こちらを睨みつけながら…赤毛猫目が意味不明な発言を繰り返し騒ぐ…赤毛猫目…いや、小学校の同級生…ミケらしい…


 小学校の頃、何かいつも1人で本読んでる奴…教室でも特別静かな女の子で…話しかけるとボソボソ返事をするパッとしない…調子に乗って何も考えないで話しかけまくると、ずっとボソボソ返事するのが楽しくて思いつきで喋りかけ続けた…これが…ミケ!?


 …こんなに…うるさ…ていうかあの学校に行くほどの、そもそも馬鹿だったっけ?

 いや、本を読んでるだけで別に勉強出来たイメージは無いし、返事もたまにしか聞こえなかったけど…もしかして本物…か?


「ミケ…なの?…かな?」


「ニヤァァァァッ!?だからそうだって言ってるジャネーかぁァァァ!!!ワシゃあミケじゃあああ!ヨー君のヒロインのミケェッ!ボケェっ!!」


 ニヤァ!?ワシ!?ボケ!?なんか喋り方がどんどん酷くなっていく…収拾つかないなコレは。


「おぉ…ミケか。ゴメンな気付かなかった。じゃ、また今度…」


 僕はミケをゆっくり玄関の外に押し出しながら、ドアを閉めた。


「ヨークアアアアアアン!?なんでミケェいるのに閉めるんじゃボケ『バタン カチリ ジャラララー』


 ドアを閉め、鍵を閉め、チェーンロックをかけた。


「ミケちゃん、同じ学校だったのねぇ…派手に…いや、派手というかなんというか…」


「何か学校で気付かなかった事を怒ってるみたいなんだ…明日謝るよ…とりあえず今日は…『フーッ!フーッ!フーッ!』


 その時、ポストの隙間から猫目がこちらを見ていた…鋭い目つきで息荒く…しかも血の涙を流さんばかりに涙を流す猫目が…


「ちょっとヨータ…ミケちゃん可哀想じゃない…」


 本気かい、母さん?母さんはミケに甘いな…

 僕は仕方なく帰って貰う為、チェーン外さず鍵だけ開けて、10センチ程の隙間から説得する事にした…


「詳しい事はまた明日だよ、明日。ミケ…またあしぁぁッ!?」


 凄い勢いでミケの左手と左足が滑り込んでくる!?僕は制服の襟首を捕まれ引っ張られたので、ついついまた勢いよくドアを締めてしまった。


 グシャッ!!


「ギャアアアアアアア!!…ヨー…よー君…閉めちゃあいけねぇよ…辛え…痛ぇ…何回繰り返すんじゃぁ…し、死ぬまでかよぉ!?」


 ドアに挟まって猫…いや、人間は死なないな…


「ど、どうやったら帰って…くれるのか…?」


「そ、そんなに帰って欲しいの…かよ?あ!アレか…チコか…チコの事が忘れられねーんかよ…」 


 チコ…忘れてた…忘れてたな…ヤベ、何も考えてなかった。

 同じ高校に入ったら告白しようと思っていた幼馴染のチコ。何やってんのかな?


「やっ!?やめろよぉ!やめるんじゃぁ!チコのこと考えるのやめろボケェ!ミケェ!のこと考えるんじゃミケェっ!」


 いや、お前が名前を出したんだか…とにかくうるさくて…もう分からなくて…分からなくなってきて…何やってんのか…


 僕は……………………


 昼と同じミケの乳ネックに自転車の空気入れを差し込んだ。


「チコやめんかい!ミケじゃいッヨッシャケッ!?♥」


 ミケは自転車の空気入れの固定金具で乳ネックを挟まれた瞬間力が緩んだ…そして片手でシュコっとレバーを入れ、空気を出してみた。


 母親は唖然とし、ミケは目を真ん丸くし、僕も愕然とした。


「ニャホゥッ!?♥ホーウッ!♥ヨヨヨッ!?♥」


 腰がガクッと落ち、目がグリンと上向いたミケを素早く外に押し出す。素早くドアを閉めた。 

 再度、ポストの隙間からトロンとした目でこちらを見てきた。


 「今のが返事ってことか…分かった♥また明日じゃ…じゃあの」


 ミケは去っていた…何だったんだアイツ…


―――――――――――――――――――――――


「テンテケテケテン、フッフー♬」


 上機嫌で鼻歌を歌いスキップしながらヨータ宅を後にするミケ…

(ヨータ…私のヒーロー…どうやらチコとは…)


「グフフ♬ヨータはぁ…ミケの、もんじゃあ…ありゃあゼッテー惚れとるのぅ♥」


 ミケにも中学時代、色々あった。

 だが、小学生時代から変わらないものがある。

 それは…普段はヤンキー口調、興奮すると九州・中国地方なまりのような『〜じゃ』口調になる事。

 見ていたのは小説ではなくヤンキー漫画。

 いつも後ろ向きな彼女が…心の中では普通の少女の口調で喋る彼女が…ボソボソ何言ってるか分からないとか言われていた彼女は…


 その彼女・ミケが高校では前向きになる…高校デビューを誓ったのだ!


 たが、その恋するヨータ宅の隣…元ヨータの想い人…幼馴染のチコ宅の二階から、ライバルであろう女にミケは見られていた事を知らない。



※不定期連載中!でも続きますよ!




 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

クズ校生の青春シリーズ〜私のヒーローはヤヴァイ クマとシオマネキ @akpkumasun

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ