自己紹介で恥晒し…何でアタシを覚えてねーんだよ…
赤毛が気絶した。ただし、完全に両手で俺をロックした状態で。
「じゃあお前ら!1時間ぐらい勝手に自己紹介でもやって今日は帰れ!」
ガラララララ、ピシャンッ!
そして、俺はこの動物園に放置された。
突然髪金外国人女が大声で話し出す。
「ハーイ! 「アリス・クウェル・ラビエラ」 デース!アリス ッヨンデ ジャペンニ ポールノン、ベンキョー キタヨ!ヤ○マ○ デハ ネイヨ!ヨロシクネー!」
え?
よくわからない気持ちになっているとギャルが喋り始めた。
「あーし、「ターコ」!これでも〜全国学力テスト2位になったンゴ〜健ちゃんとは同中(どうちゅう)で〜一緒になりたいから受験って感じ!?ヨロシコ★」
お?
そしてひょろ眼鏡が早口でまくしたてる。
「その「健ちゃん」でゴザル。ターコとは同郷ゆえ、縁あってこちらにまいった!ちなみにこの中にターコ以外に知人が2人いるでござるな!今後とも宜しくでゴザル。」
う?
矢継ぎ早にでっかい角刈りが喋る。
「おいどんは「ほうさく」でゴワス。高校から芋作スタイルで行くでゴワス。芋っ子な彼女が欲しいでゴワスな!うわっははは」
ハア?ヤバい人しかいない…
気づけば赤髪眼鏡と俺だけになってるぅ!?
行け!行くんだ俺!恥をかけ!恥を!
「俺はヨーってんだ!絶賛幼馴染を攻略中!中学では芋サンドバックって言われてた!高校デビュー予定だぜ!俺もデビュー!皆もデビュー!俺達皆、デビューするソウルメイトだぜベイベッ!」
死にたい…前段階の奴らのせいでおかしくなった、連想ゲームじゃないんだからさ…死んだよ。
こんな頭がおかしい奴らと3年か…
「ヘェ~良いじゃんソウルメイト!さっき話してたんだけど〜皆デビュー組だからさ、ガンバルンバ★」
「ほう?既に芋道を?これは僥倖でごわす!」
ギャルとゲンさんがなんか抜かしよるわ…
いつの間にか意識が戻っていた赤髪猫目が横でガタっと動いた…
「アタシ、ヨー君のストーカーデビュー、って事にしといてよ…永井ってんだけど、攻略中と聞いてぶっ殺すことにした。誰とは言わないが…なぁ?誰を攻略中なんだろうな、赤い髪の誰かかなぁ?」
俺をジトーっと見てくる…シーンっとなった。
とりあえず、今日は解散となり、明日以降に親睦を兼ねてどこか遊びに行こうと言う事で、ソウルメイト?と校門で別れた…別れた筈だった。
俺の横に…赤髪猫目がいる。家、こっちなのかなぁ…どうなんだろうなぁ…こっちなのかなぁ…まいったなぁ…あんな事もあったし…聞きたくないなぁ…俺は幼馴染以外、女の人と気軽に話しかけられないんだよ…いや、頑張れ…これからがかかってるんだ!
「い、家、こっち方面なの?」
赤髪猫目がこちらをジト目で見る…自己紹介のストーカー宣言といい、何なんだよぉ…
「そう、こっち方面だ…わりぃかよ?」
「いやぁ別に…悪く…無い…」
それから電車に乗り、家まで歩く。こちらを見る、逸らす、時折睨む、歯軋りをする、忙しく百面相をしながらずっと隣を歩く赤髪猫目…
「家…どっち方面なの?」「こっち方面だよ…」
本当にっ!?
どう考えてもウチに向かっているけどっ!?
ウチの前に着いた…家がバレる…よし、公園に向かってそこでお別れしよう!そうしよう!
我ながらナイスアイディア!
近所の公園の前まで来たので言ってやった。
「ちょっと俺、ここでやる事あるから!」
公園に入ると一緒に公園に向かう猫目赤髪…
「ど、どうしたの?」
「ヨー君ッ!?お、お前…マジかよ…ここで…お前そんな…でも…望むならイクとこまでイクぜ…野外の…向こう側だな…」
何故、顔を真っ赤にしてモジモジする?
「続き…ここでするんだろ?…家かと思ったけど…ヨ、ヨー君がココが良いって言うならよ…我慢…とかじゃネーからな?アタシだって…どちらかといえば…アタシは…尽くす方…だし…」
「ごめん、あの、何の話でしょうか?」
いや、マジで分からない…俺は鈍感系の男ではない、何か一目惚れとかではないが、彼女から好意があるのはすぐ分かった…だけど理由もやり方も、そもそも知り合い風なのだが小中とこんな変人は居なかった。 何かの勘違いだと思うが名前が同じの勘違いってあるのかな?
ま、まぁ、ぼ、ぼくは人見知りだから好意を寄せられても…えっ!?
「うおおおおっ!?あああれええええッッ!?アアアアアアアアッッッ!!!」
ガシャッッガシャンガシャンがシャンっ!!
急にブランコを力をいっぱい両手で揺らし始めた!?ゴリラ!?そして崩れ落ちて…ブランコを抱きしめる様に泣いていた…
「ヨー君、お前…どんだけワルだよ…乙女心がよ…トラックと、正面衝突だよ…つ、つれぇ…」
もう訳わからないナ…とりあえず帰ろう。俺は何か赤髪猫目がブツブツ言ってるが、音を立てずにその場を去った。
公園から家に向かい、通信制の高校ってどうやっていくのか考えながら家の玄関を開け思いっきり閉めた…つもりだった…
「ただいまー、ん?」
グシャッ!
「待ッてッグゥアアアアアアアアアッッ!?!?!?」
「ウワァ!?何で」
目を疑った。ウチの一軒家の玄関はまぁそれなりにゴツい。風の効果もあり相当な勢いで締まるドアの間に赤髪猫目が挟まっていた…
玄関に崩れ落ちる赤髪猫目…骨折れてない!?ど、どうしよう?
「ヨー?何玄関で騒いでるの?始業式は…アレレ?ミケちゃん?」
「え?ミケ?」
ミケ?何言ってるんだ?ミケって小学生の時の地味で大きいメガネかけて読書が好きな…ミケ?
「よ、よ、よ、ヨー君…まさか…ま、まさか…今…気付いたのか?知らないで…知らないでアタシを犯したのかよぉぉぉぉぉっ!?」
ここは僕のお家の玄関です…
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