🌌5−4章 大千秋楽 降り注ぐ天厄に祈りを

『神幽婚』

 あのおじいさんがいなくなった。連絡を受けて私たちは急いで、送祭りの準備をしました。

 囃子の演奏者はいないため、映像から取り出した音源を変わりに。できる限り大きなライトを借りて、かつてお祭りをしていた広場に集まりました。拝み屋さんと退魔師の人を連れて、かつてのお社に行くとものすごく険しい顔をしました。

 拝み屋さんは胸を掴んで顔色を悪くして吐き気を催し、茂みでゲロを吐きました。退魔師の人は札を出して、顔面を蒼白にして呪文を唱えていました。私たちはたいしたことないのですが、拝み屋さん曰く『ここの村人だった人は加護を受けているがゆえに安全なのだろう』と。退魔師さんからは『加護があるならば、まだ落ちた神でない。健全な神だ。まだ普通であるうちに鎮めて黄泉に里帰りさせたほうがいい』と、退魔師さんが言ってました。

 私達でボロボロのお社から御神体を出します。私達は気持ち悪さを感じませんでしたが、広場の中央に置いて夜を待ちます。

 夜になると、明かりをつけて影を作りました。スピーカーから私達は留囃子を流しました。

 音源には人の声が混じってますが、演奏者はいないため仕方ありません。私達は一箇所にとどまって踊りました。人の影を御神体に覆うように踊っていると、ノイズや雑音がない状態になりました。影も明かりによって薄くなっているはずなのに、とても濃い黒くなっています。


 ……神様がやはりいるようです。


 そして、『神幽婚』。酒坏に入ったお神酒を飲み、御神体にささげてから共に隣に立ちます。……このとき、私は神嫁役になりました。

 終わりは『送囃子』が流れました。私と御神体を中心に周囲の人々は踊りました。ノイズのない『送囃子』が終えて踊りを終えると、私は御神体を抱えてお社に向かいます。

 お社の裏手には深い穴を掘っていきました。私達は御神体を箱に収めて、御神体にいる神様に謝罪と今までの感謝を述べながら埋めていきました。

 拝み屋さんと退魔師さんはそれを見て、御神体から放つ悪い気配は無くなったと言いました。

 ──ことが終えたのです。

 それ以降囃子は聞こえず、影も取られることはありませんでした。

 ……残念ながら犠牲者は戻ってくることはありません。ですが、もうこれで歪んだ『送祭り』が各地で起きなくてすみます。


 私は神嫁役となりましたので、一年は恋愛と性関係には手を出しません。アイドルとか、諸々推したいアイドルも居るのでw


 ……以上が、送祭りについての話でした。もうあれから一年経とうとしています。何かこの出来事を残したいと思い、ここに載せさせていただきました。然程怖さはなかったと思います。

 期待していた話じゃなくてすみません。では、お付き合いありがとうございました。



『神幽婚』



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