9 一連の状況まとめ4
安吾の報告からは土御門春章の情報がいくつか聞けた。
土御門春章は強い陰の気がある。かの春章は力強い霊刀を持っている。また零落した神を言葉巧みに利用し、怪談を作り上げていると。瘴気から読み取った情報が思いのほか多く、今後の方針も纏まりそうだった。その反面、部屋の中の空気は重い。
直文は難しそうに資料を見る。
「顕明連、『穏健派』の陰陽師、『悪路王』と『大嶽丸』……。難題になってきたが、今は一つずつ解決していくしかないか」
八一は笑いながら、資料を降る。
「まあ、けど、『悪路王』関連は啄木たちが何とかすると思うぜ。たかむらさん、啄木個人に任務与えてたしな。私たちが気をつけるべきは、この『悪路王』に関してある奴に情報を与えちゃいけないってことだ。啄木の任務の邪魔したくないしな」
笑いながら言う狐に、安吾は真顔になる。
「八一……頼みますよ? 複雑とはいえど、あいつに漏らさないでください。相方の支障は僕の支障でもありますから」
啄木の相方からの言葉に、八一は笑みを消し頷く。
「ああ、今の『悪路王』は全く持って異なるからな。絶対に、この件には関わらせないようにするし、今回の騒動は絶対に終わらせる」
二人の会話の後、パンパンと乾いた音が部屋の中で響く。一葉は手を叩いて注目させたのだ。
「安吾、報告を感謝する。適当な席に座ってくれ。これより、今後の対策と方針について話す」
一葉は操作して、スクリーンのスライドを変えた。
話された今後の対策。
依乃が狙われているのは明白。いつものように護衛は入るが、直文の警戒度を上げ、また式神を認識させぬよう隠形のお守りを新たに作ることとなった。真弓については協会のトップに近づけさせてばならないと結論がでる。
いつも通りではなく、陰陽師が一歩先に行っている以上、できる行動をしなくてはならない。
彼らはできる行動を述べていった。
組織の『桜花』から地元の妖怪や各寺社に通告をしておくようだ。
八一と奈央は創作怪談の進行状況と感知を任された。ソーシャルネットワークでの動きを奈央と八一で確認するが、奈央は掲示板系を八一はSNSのアプリやサイトを見て回ることに。
茂吉と澄は依乃の護衛であるが、地域の結界を施す役目も与えられる。
啄木たちの役目は、陰陽師側に探りを入れることだ。
儀式は核となる神を仕留めなくては止められない。その神の所在が分からないのだ。協会の本部におり、その本部は京都市内にあるとしてもそこに神がいるとは限らない。街の中である場合、犠牲や被害が出る場合もある。慎重に調査をする必要があるのだ。
すべきことを話し、一葉は全員に顔を向ける。
「以上だが、まず一つとして全員には確認してもらいたいものがある。資料を見てみればわかると思うが……」
資料を見るが、安吾は茂吉から資料を借りて目を通す。
次の資料には『儀式』シリーズの怪談が書かれていた。『送祭り』、『留囃子』、『影奉納』、『神幽婚』、『送囃子』など。
彼らは『送祭り』を見た後に、『留囃子』のお話を見た。
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