紛争地域に『仕事』で訪れた死神と、消えゆく命を救うべく必死に奮闘する医師。二人の出会いが彼らにもたらした運命を描いた、1万字弱の短編です。
命を刈り続ける死神が登場するファンタジー作品です。しかし医師は何故あえて戦地を選び、そこに飛び込み続けるのか。その信念や、『生』について医師に告げる死神の言葉は胸に刺さります。また、現在も世界各地で起こり続けている戦争や紛争に思いを馳せる物語ともなっています。
作者さんの言葉選びがとても好きでこの作品も何度か読み返していますが、読むたびに情景描写や心情描写にも吸いこまれるように見入ってしまいます。
死を扱う作品特有の仄暗さがありながらも、救いを見い出した先に見える光が素敵な物語。多くの方に読んでもらいたい、とても大好きな作品です。ぜひご一読ください。