第41話 ヲタクの視点から読む古典
古典が楽しく思える瞬間は主に三つです。現代語訳できたとき。昔の人の悩みや考えに共感したとき。そして最後、恋愛模様や人間ドラマにときめいたときです。
一月から二月にかけて扱った単元は「
A:そんなに人を殺してしまっては、お前が往生できないではないか。雑魚の相手はするな。
B:雑兵の相手より、総大将の首が先と言いたいんだな。心得た!
総大将を追いかける熱血漢Bだったが、首を打ち取ることはできない。それならばせめてと、自分を生け捕りにしようとした兵三人と死をともにする。最後の戦場で冷静に一門の最後を見届けた棟梁Aは、死ぬときは同じ場所で死のうと約束した乳兄弟と手を握って海へ沈む。残されたのは乗っていた舟と、海に漂う一門の旗と目印につけていた布だった。
〈おわり〉
いかがでしょう? Aの意図を誤解して突っ走るBと、涙なしでは語れない幼馴染主従のやりとりは。
授業で音読する度に感極まってしまいかねないほど、関係性が尊くて尊くて。ブロマンスと定義づけるか、BLと定義づけるかはテクストを読んだあなた次第です。男装女子やほかのキャラに置き換えるかどうかもおまかせします。至高のカップリングを探しに、古典へ足に踏み入れてみませんか?(唐突な布教)
現役高校生だったころは、登場人物達の死に際に心を痛めるピュアさを持っていたのですけれど。大学生でテレビ・ゲーム・インターネットの利用時間が制限解除されてからは、アニメやら支部やらで雑多なものを摂取したのですよね。守備範囲は広くなりましたし、今なら声優さんの話題についていけます。
話が脱線しかかりましたが、さすがに授業中に「このカプ最高すぎないか」と熱弁することはできません。劇薬になりかねませんから、生徒の自由な読み方を尊重したいのです。共感してもらいたい欲求を隠し、どうにか耐えています。ただ今年の「羅生門」のおしの説明で「おしは差別用語だから今は使わないこと。みんなが使っていいのは、推しは推せるときに推せの『推し』だね」と自然に言ってしまうことはありました。ヲタバレはとうの昔にあきらめているから良いのです。授業で使う紙類を入れるファイルは、アニメのものですから。
ちなみに古典でなくとも、教科書に掲載される匂わせ作品は複数存在します。下瀬川ひなるさんの『おしえて!BLソムリエお兄さん』でも「山月記」は紹介されていましたが、去年教材研究で読み直したときに新たな発見をしました。袁傪に話す李徴のセリフに「天に躍り地に伏して嘆いても、誰一人
カクヨムコンの執筆に追われていたときは、仕事中に供給をもらっていました。素数に沸き立つ理数系の教員とは違う方法で。
年に一度のお祭りが終わり、溜めていた本や録画を少しずつ味わっていたとき。ある供給に絶望を感じさせられたのでした。見るんじゃなかったという意味の絶望ではなく、存在しない続きによって想像の翼が折られたのでした。
満足感が大半を占める中で、書かれるご予定ないのつらあぁ……と涙目になった方は少なくないでしょう。心臓がいくつあっても足りない気弱ヒロインとツンデレ俺様の攻防戦に目が離せない、宇部松清さま「サワダマチコの婚活」の番外編読了時に。
【本編】
https://kakuyomu.jp/works/16817330664669144391
【番外編】
https://kakuyomu.jp/works/16818023212812062465
全年齢の読者さまの心を掴むのが、宇部さま作品の良さだもの。公式二次創作職人は「なんやかんやで!」のときにいただいた肩書だけれど、腕によりをかけよう。そのような思いで「重い本命チョコでも受け取ってくれますか?」ができました。
https://kakuyomu.jp/works/16818023213254859097
書き終わったときは「話し方はこれで合ってたっけ」「時系列問題なし?」「そもそも需要あるの?」だの悩んだものの、墓場まで持っていくと墓荒らしに遭うというご意見をいただき、公開に踏み切りました。読んでくださった方々の熱いコメントは、身に余る光栄でした!
公式からもお墨つきをいただき、好きを詰め込んで良かったです。ありがたいことにホワイトデーも期待されているので、浮かんだネタは温めておきます。本格的に動くのは原作が投稿された後。ただし、呼吸できているかは神のみぞ知るのでした。
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