第40話 心の安定剤
とにかく実を結ばない植物を、辛抱強く見守るようなお仕事です。たまに「先生ストレス溜まらんのん?」と無邪気な質問をされますが、教卓に頭を打ちつけたくなる衝動を必死に抑えていますよ。そんな見苦しい姿を見せた日には、生徒に撮られた写真がエアドロで校内で回ってしまいますから。
何もしないで布団にくるまる時間を、休日に設けなければ鬱になりかねません。一年目の古典の授業は三つのみでしたが、二年目は七つ。ストレスも倍になっていました。休日は心を癒すことから始まったため、執筆時間は去年よりも減っていきました。カクヨムコン締切ギリギリで、どうにか「打ち上げろ! 聖ヒルデガルド学園女子野球部」を完結させることができました。
https://kakuyomu.jp/works/16817330661931966196
KACで書いた連作短編(現在は非公開)は二万字に満たなかったため、倍書けてすごいと我ながら思います。
お嬢様学校で女子野球部を立ち上げる百合が生まれたのは、二〇二二年の八月九日。「#いいねした人が書きそうな小説のタイトルを書く」で、肥前ロンズさまから提供していただいたのでした。私がカープファンだと知ってくださっていたからこそ、女子野球部をタイトルに持ってきてもらったのだと思っています。
お嬢様学校と解釈したのは、聖ヒルデガルド学園の名前の響きからでした。セーラー服の襟がめくれていてよなんて会話が繰り広げられていそうと、勝手に想像を膨らませました。書きそうな小説のタイトルではなく、実際に書きたいと思わされていきます。
そんな矢先、大きな問題が浮上しました。野球は九人のスポーツです。控えの部員を含めたら、登場人物は何人いるでしょうか。加えて、お嬢様言葉を使うキャラを書き分けられるかという難点も出てました。生徒の顔と名前を一致させるだけでも大変だというのに、似たようなキャラは作者でさえも覚えられません。
入念な下準備を踏まえて書いたKAC版は、我ながら手応えを感じました。好きなものの組み合わせは、書いていて楽しかったからでしょう。調子に乗って、KAC最後の作品でカクヨムコン参戦を宣言しました。
KACで書けなかったシーンを大量に加筆した長編版は、旧作から応援してくださった方だけでなくご新規さまも足を運んでもらえて嬉しい限りです。何よりコメント欄がお嬢様言葉で溢れ、本作の世界観を愛してくださっていることが身に染みました。
読者選考期間に宣伝用の小話を投稿しようかしらと思って書いてみたものの、続編に入れてしまいたい気持ちが強くなって保存したままにしています。永遠に書いていられるお嬢様達を生み出すきっかけをくださった名付け親に、感謝の思いは増すばかりです。
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