ACT.29 『-11才のくちびる-戦闘準備は、美月におまかせ!』



こちらにむかって歩いてくるルミナ。

足元から舐めるようなショット。


「お姉様ったら、おねーさまー」

「何をそんなに見つめてらっしゃるの?」


「お 姉 様。ウフフ」


これはまさに、月見の生写しだ。ルミナの大人びたスタイル。長い髪。その美しい顔立ちに、炎花たちが思わず息を呑む。3日前まで赤子だったるーな。


橙黄色のコンバットドレスが、機体装甲版に反射する。ルミナ専用のムーンライトRr改めファイナルRは、特殊なビームコーティングがなされており、被弾係数を限りなくゼロに抑えている。



「離型剤を使った苦労が報われる」とは、耀子の台詞。



FINAL-Rに乗り込むや否や、実戦シミュレーションをRUNさせるルミナ。流石は、月見の忘れ形見。フラワー騎士としての性能は、折り紙付きだ。


データが足りないと怒鳴るルミナ。ワルキューレのパイロットとしての気質は、天性のものだ。今は、皆がそう信じたい。永遠打倒の気持ちが誰よりも熱いのは、にーななのだから。誰かが、冷却剤にならないといけない。


もっと時間があれば...。


ヘヴィーウエポン化を嫌ったルミナ。

はっきりモノを言う。

それは、おそらく正解だったのだろう。


今は、ピーキーカスタムされたFINAL-Rで、ルミナを送り出すことだけを考えればいいんだ。



炎花の顔が曇る。


「何だか顔色が悪いみたい。炎花」と輝名が声をかける。


「心配いらない」

「心配なんかしないで!」


急に怒り出した炎花。



心の中で炎花は叫んだ。

「親殺しなんて出来ないよ」


炎花の直感は、おそらく当たっていた。

誰にも言えない事実。仮説を立てて行動なんかするんじゃなかった。

少し後悔する炎花。


炎花の肩に手を乗せる耀子。

耀子もまた事実を知る者であった。

少し落ち着いた炎花。


ルュミナを少し遠くで見つめる炎花。









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