第2話 side:るみ


「オホオオオオオオ!!!! んおっほ! んほ! んほおおおおお!!!! んおおおおお! イグ!!!! いぐいぐいぐうううう! むりむりむりむりぃいいい! ぐおっほおっほんほおおっほほっほおほおおおおお!!!!」


 私、七原瑠美はけっこう特殊な性癖をしている。

 こうして全裸でベランダに出て、オ〇ニーをするのが大好きなのだ。

 そのときにはもちろん、全力でオホ声を上げて獣のように本能むき出しになる。

 まるで性のためだけに生きているかのような獣になるのだ。

 そうすることで、心の底から快楽を享受できる。


「んほおおっほほっほおほおおおおお!!!! さいっこおおおおお!!!! ベランダオ〇ニーとまらないんんん!!!! きもぢいいいいいい!!!!」


 なぜベランダでやるのか。

 それはもちろんスリルがあるからだ。

 自分の部屋でこんなことをしているのが知り合いにバレたりなんかしたら、人生終わる。

 そのスリルこそが快楽へと変化する。

 自分でもどうかしていると思うが、もう癖になっていてやめられない。

 最近はどんどんエスカレートしてきて、オホ声を大声で出さなければイッた気がしないのだ。


 オホ声趣味が高じて、ほそぼそとだが声優の仕事もしている。

 お小遣い程度にしか稼げていないが、同人音声声優として、オホ声界隈ではそこそこの知名度だ。


「んほほほおほおほおおおおおお! 頭おかしくなりゅ! 人生おわる!!!!」


 今日もスリルと開放感で頭をバグらせながら、快楽をむさぼっていた。

 だが、まあ。

 実際にはほとんどバレるリスクはない。

 そういう時間帯を狙ってやっているし、今は時期も時期だ。


 というのも、今は夏休み。

 この大学生しかいないアパートには、ほとんど誰もいない。

 地方から出てきている者は帰省しているし、昼間なのでバイトや遊びに出ている者も多い。

 私はコンビニの夜勤のバイトだから、昼間からこうしてオ〇ニーをしているわけだ。

 

 我ながら残念な大学生活だとは思う。

 だけど、そのくらいしかやることがないから仕方がない。

 引っ込み思案な性格のせいで、彼氏もできたことがなかった。

 それに、もしできたとしてもこの性癖を理解してもらえそうにもないから絶望だ。


「んほおおっほほっほおほおおおおお!!!!」


 そう、私は完全に油断していた。

 その日、私は意識が吹っ飛ぶくらいに快楽にふけっていた。

 そのせいで、少しいつもより声が大きくなりすぎてしまっていたのだ。


 ――ドン!


 突然、隣の部屋から壁ドンされてしまう。


「…………!?」


 心臓が止まるかと思った。

 こんなところバレたら、本当に人生終わってしまう。

 だけど、そのスリルが私をさらなる快楽へといざなう。


「んんんんんんんんんんんんああああああっあ……!!!!」


 私は声を押し殺しながら絶頂してしまった。


「はぁ……はぁ……」


 でも、困ったことになったな……。

 まさか隣の部屋の人がいたなんて。

 私みたいにつまらない大学生活を送っているに違いない。


「まあ、隣人っていっても会うことなんてそうそうないし……いっか、別に」


 私はぼーっとした頭で、そのまま全裸で布団の中にもぐりこんだ。

 そのときは、軽い気持ちで考えていたこの一件が、まさかあんなことになるなんて――。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

僕の好きなオホ声同人声優が実は大人気清楚系vtuberでしかもうちの近所のコンビニで働いていて隣の部屋に住んでいるとかぼくは知らない。絶対にだ! 月ノみんと@成長革命2巻発売 @MintoTsukino

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ