僕の好きなオホ声同人声優が実は大人気清楚系vtuberでしかもうちの近所のコンビニで働いていて隣の部屋に住んでいるとかぼくは知らない。絶対にだ!
月ノみんと@世界樹1巻発売中
第1話 声漏れてますよ……?
「オホオオオオオオ!!!! んおっほ! んほ! んほおおおおお!!!! んおおおおお! イグ!!!! いぐいぐいぐうううう! むりむりむりむりぃいいい! ぐおっほおっほんほおおっほほっほおほおおおおお!!!!」
イヤホンから流れてくる常軌を逸した女性の声は、なにもふざけてそんなことを言ってるわけではない。
これはれっきとしたえっちな声――あえぎ声の一種なのだ。
通称『オホ声』。
まるで獣のように本能をさらけ出したあえぎ声を、一般的にそう呼ぶ。
俺は無類のオホ声好きだった。
オ〇ニーをするときは必ずイヤホンで爆音のオホ声を聴きながらする。
その中でも俺のお気にいりは【夕凪るみ】さんという声優さんが出ている同人音声だった。
俺は彼女が出演しているえっちな同人音声をダウンロードで買いまくっていた。
「ふぅ……いやぁ今日も夕凪るみさんの声は最高だぜ……! いっぱい濃いのでたぁ……」
満足感に浸りながら、俺はティッシュで自分の体液を拭きとる。
それからズボンを履いて、ようやくイヤホンを外した。
「ん……? あれ……? なんで……?」
一瞬、俺の耳がおかしくなったのかとも思ったが、どうも違うらしい。
なんと、イヤホンを外したはずなのに、いまだにオホ声が聴こえてくる。
「まさか……!? とうとう俺もオホ声好きすぎて幻聴が……!?」
イヤホンを外し、音声の再生を止めたはずなのに、俺の耳にはたしかにオホ声が聴こえている。
しかも、聴こえてくるのは間違いなく夕凪るみさんの声だ。
俺はもう百万回ほどは夕凪るみさんの声を聴いているから、間違えるはずがない。
「どういうことなんだ……?」
音に集中してみると、どうやら隣の部屋から聴こえてきているようだ。
俺の住んでいる部屋は、一人暮らしようのアパート。
ほとんどの住人が俺みたいな大学生か若いフリーターだ。
「ってことはまさか……!? 隣の住人も夕凪るみさんのオホ声音声の愛用者なのか……!?」
世の中には物好きなやつもいたもんだ。
まさかオホ声音声をスピーカーで流すなんてな……。
それにしても、隣人と性癖がドンピシャで同じとかどういう確率だ?
「でもいくらなんでも近所迷惑だろ……」
耐えかねた俺は、隣の部屋を壁ドンで威圧することにした。
――ドン!
すると――。
「んんんんんんんんんんんんああああああっあ……!!!!」
と絶頂するような声がした後、音は静かになった。
「ふぅ……ようやく音声を止めてくれたか……」
そう安心したのもつかの間。
俺はあることに気が付いた。
「おい、待てよ……今の声……なんだ……?」
そう、さっきの絶頂時の声をこらえるかのような声。
夕凪るみさんのあんな声は、どの作品にも収録されていなかったのだ。
俺はもう全部の夕凪るみさんの音声作品を何度も何度も聴いているから、そのくらいのことはわかる。
「もしかして……秘蔵音声……!?」
いや、そんなはずはない。
夕凪るみさんのファン支援サイトにも登録している俺ですら持っていないような音声、俺以外のファンも持っているはずがない。
夕凪るみさんの新しい音声を持っているとしたら、そんなのは本人以外にあり得ない。
「え……!? ま、マジかよ……!?」
そういえばさっき最初に聴こえてきたオホ声も、俺の知っている音声作品のとは微妙に違っていた。
ということは――。
「もしかして隣に……夕凪るみさんが住んでいる……!?」
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