私の兄

稲垣なつ

兄と私

私の兄

 これは、ブラコンの私が2歳年上の兄についてを語った話である。

 20××年、1/17日、私が生まれた。その時私の兄は2歳。病院の近所の公園で滑り台を滑ろうとしていた。。。。らしい。兄曰く、今でもそのショックは覚えているそうだ。全くもって悲しいことだ。妹の誕生の喜びよりも、滑り台の悲しみを覚えているなんて。まぁ、そんな恨み言を書くためにこの文章を書いているわけではないから、その話は置いておこう。

 話は飛ぶ。私が、一歳の時だ。そして兄は3歳、幼稚園に行く年になった。特に泣くこともなく楽しそうに幼稚園に行く兄の姿を見ていた私は「幼稚園=すごい楽しいところ」と言う印象を抱いた。その頃の私の趣味は兄の真似をすることだった。ちなみに、その遊びとはトミカ集めと、ベーブレードだった。それに加えて、幼馴染も5人中4人が男の子だったこともあり、思考は男の子と似ていたらしい。三子の魂百までと言うべきか、今でもその性格は継続されている。悲しいことだ。幼い頃から培ってきた性格はなかなか変わらないらしい。。。また話が脱線してしまった。ということで、幼い頃から兄にべったりだった私は当然のように更にブラコンを加速させた。

 2歳頃だっただろうか、私は初めて有名な某遊園地に行った。今は怖くないが、幼い頃はきぐるみのキャラクターが怖くて仕方がなかった。そんな怖がりな妹を兄は呆れながら面倒を見てくれた。だが、途中から私のことなんて忘れたかのようにジェットコースターに乗っていたのは鮮明に覚えている。

 そして月日は流れ私は3歳。幼稚園に入園することになった。私の幼稚園生活は、兄とすれ違うたびに話しかけたり、友人の不思議なおままごとに付き合わされたり、トンネル作りに強制的に付き合わされたり、泥団子を友達に投げて怒られたりしていた。「兄の話をしているのに、急にお前の話をし始めるな」と思ったあなた、少しお待ちください。ここからが兄のおはなしです。

 2/2、節分。私が通っていた幼稚園は2月2日に毎年鬼がくる。その鬼が怖くて仕方がなかった。私は号泣した。家に帰って涙目でそのことを伝えると兄から助言があった。「鬼はどうせ幼稚園の先生がやってるんだから、鬼の仮面でも脱がせれば先生が出てくるよ」と、子供なのに、夢のないことを言っていた。私はそれに対して、「そうなんだ!来年はそうするよ!」とどうやったら鬼のお面をとれるのか一年間一生懸命考えた。そして、(次の年は泣かないぞ!)と思っていた。

しかし、次の年、結局泣いた。

私が4歳になった頃、兄は小学生となった。兄の入学式の時、私は幼稚園だった。自分1人いけないことに駄々をこねた。ただ、それは時間の無駄だった。もちろん連れてってもらえず、幼稚園に強制連行された。まぁ、その日のご飯が美味しかったから私の機嫌はすぐに治った。まったく、単純な子どもである。

月日はさらに流れる。そして私は小学四年生となった。その時私はあることに気がついた。《私と兄は何かと気が合わない》と言うことだ。例えば、親に「何を食べたい?」と聞かれると、兄は必ず「うどん」と言う。私は大概「ハンバーグ」と言う。必ずご飯の意見は割れる。そして、結局ご飯は私と兄のじゃんけんで決まる。その方式は今でも続いている。だが、《何かと気が合わない》と言うことが悪いことばかりでもない。例えば、親に「このチョコとこのチョコどっちがいい?」と聞かれた時、私と兄は大体の確率で逆の方を指す。争いになら図に解決するのだ。

それに気づいてしばらくした後、兄は修学旅行に行った。私は兄がいないのを寂しく思いながらも、兄の漫画をこっそり読んだり、家族4人で寝ていたベッドに大の字で寝てみたり、と色々していた。まぁまぁ楽しかった。そして、兄が帰ってきた。兄は無言で私に何かをくれた。お土産だった。とても可愛かった。そして、とても嬉しかった。兄は修学旅行に行くたびに私にお土産をくれる。また、誕生日は必ずプレゼントをくれる。いつも「うるさい」とかなんとか言っておきながらなかなか優しい兄である。もちろん私も兄にプレゼントやお土産を返す。

そして、月日は流れ「中学校はとくに何もなかった」と仮定して、高校に行こう。

兄の高校はなかなかに頭が良かった。そして、家族の色眼鏡がはいっていたとしても、兄は頭が良かった。運動もできた。しかし、モテなかった。理由は2つだ。1つ目は女の子と喋らないのだ。兄はいわゆる、陰キャだった。コミュ障だった。だから、女の子に兄の優しさが、面白さが伝わらないのだ。2つ目は兄が行った高校は男子校だったのだ。その時の兄はきっと、女性とは私と母親くらいとしか喋ってなかったのではないだろうか?


そんな兄は今何をしているかって?私の隣の部屋で勉強をしているよ。多分。もしかしたら、モケットモンスターで相手を倒しているかもしれないが、そうでないといえことにしておこう。とにかく私の兄は優秀だ。文武両道だ。そして優しい。こんな完璧な兄がこの世にいるのだろうか?いないだろうな。そんな兄だから私は好きなのだ。尊敬しているのだ。欠点がないわけではない。どちらかというと欠点の方が多い気もする。だが、長所もある。たくさん欠点があって、それの三分の一くらい長所があればそれでいいと思う。だから私の兄はいいのだ。いい意味で人間味があるから。そんな敬愛する兄の背中を私はこれからも追いかけていく。

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私の兄 稲垣なつ @Inagakinatsu

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