お絵描きムギくん 🖌️🖍️

上月くるを

お絵描きムギくん 🖌️🖍️




 おれの絵をね、保育園でトオルくんが踏みつけにしたんだ。

 こんなの絵じゃないやい、ただのラクガキじゃないかって。


 おれ……おれ……得意なものが何もなくて、ただ絵を描くことだけが好きだから。

 おれ……おれ……その絵まで駄目だって言われると、ここがドキドキしちゃって。


 気がついたら、思いっきりトオルくんをつき飛ばしていたんだ。

 トオルくん、すごい声で泣いたから、ユカリ先生がとんで来た。


 おれ……おれ……こんなふうにモジモジしてばかりで、うまく説明できないから。

 おれ……おれ……大好きなユカリ先生から「わるい子はきらいよ」って叱られた。


 

      🐶



 だけど、ムギなら、分かってくれるよな? おれのくやしさ。

 なんてったってムギは無二の親友だものな。ヾ(@⌒ー⌒@)ノ


 見たいの? その絵。

 ちょっと待っててね。


 ビリビリになっちゃったけど、ほら、散歩しているムギを描いたんだ。

 そう、気に入ってくれた? ホンモノよりも格好いい? うれしいな。


 え、記念にムギの肉球で足形をつけてくれるの?

 うわあ、すてきだな、ムギとおれとの合作だね!



      🐾



 さて、ここからは、いわゆる後日談っていうやつですよ~。🐠🦖🦦🦑🌱🍭


 つぎの日、坊やが保育園へ行くと、トオルくんが素直にあやまってくれました。


 トオルくんのパパママって、心根のやわらかな、すてきな方々なんでしょうね。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

お絵描きムギくん 🖌️🖍️ 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ