第10話 ぼくがこんなにかわいくなってもいいの?

 今日はさやかさんとのデートの約束があったので、この前理沙さんと一緒に買った服に着替えて、身だしなみをいつもより整えて家を出発した。

今日のデート先はこの前行ったショッピングモールになっている。

ショッピングモールに着くと、入口のところでさやかさんと合流した。

「さやちゃん、今日さやちゃんをかわいくしてあげるね」

僕はさやかさんの言葉を聞いてうれしかった。

「ありがとう。そういえばあやちゃんはかわいいくなりたいの?」

「私もかわいくなりたいよ」

「それじゃあ二人でかわいくなろうね」

「うん」

僕たちがまず向かったところは、この前とは違う衣料品のお店だった。

そこのお店で彩也香さんは僕にオーバーオールを提案してきた。

僕はかわいくはならないと思っていたが、一回試着してみると以外にも似合って、とてもかわいいと彩也香さんに言われた。

また、Tシャツもパステルピンクのシャツを試着してみると、それもまた似合った。

 彩也香さんも試着してみたらとてもかわいくなっていた。また、彩也香さんはパステルブルーのシャツが似合っていた。

 お会計は4200円だったが、僕はこれは高くないと確信した。

お会計が終わると、多目的トイレで今日買った服に着替えた。

「さやちゃん、とってもかわいいよ」

「ありがとう」

多目的トイレの中にある鏡を見ても、とてもかわいくなっていた。

 着替え終わると、彩也香さんと帽子の専門店に行った。

 そこで僕たちに合いそうな帽子を見つけ、その帽子も購入した。価格は800円だった。

 店から出るとすぐに帽子を被った。彩也香さんもこの帽子は似合っていた。

「さやちゃん、一緒にプリクラ撮ろう」

「うん。でも、僕あんまりわからないからあやちゃん僕に教えてね」

「うん」

彩也香さんがそういうと、僕たちはゲームセンターに向かった。

ゲームセンターのプリクラコーナーは、そこそこ混んでいた。しかし、彩也香さんのおすすめの機種はかなりすいていた。

そのため、すぐに撮ることにした。

「あやちゃん僕全部お金出すよ」

「ダメだよ~私も半分出すよ」

結局お金は二人で半分ずつ出し合うことになった。

そして、二人で撮り終わると、とてもかわいくなっていた。

「これが本当に僕なの?」

僕が彩也香さんに聞くと、彩也香さんは「何言ってるの、本当にさやちゃんだよ」と言った。

「さやちゃん、写真10枚あるからわけっこでいい?」

「全然いいよ」

僕は中央の切り取り線で切り取ったシートの右半分をもらった。

 ふと時計を見てみると12時になっていたので彩也香さんに「お昼ご飯食べない?」と聞くと、「うん」と答えた。

 そうして二人でフードコートに行くと、空いている席があったので、スムーズに座ることができた。

 まずは僕から昼食を購入することにした。

僕はざるそばを購入し終わって席に戻ると、スマホの通知音が鳴った。

それは理沙さんからだった。

 理沙さんのメッセージを開けてみると、しばらく前に理沙さんと取ってプリクラの写真が送られていた。

「写真送るの忘れてた」というメッセージが届いていたので、僕は「ありがとう」の文字が書いてあるスタンプを送信した。

「さやちゃん、何のメッセージが届いていたの?」

僕は正直言ってもいいか迷ったけど結局言うことにした。

「実は理沙さんからのメッセージだったよ。写真もあるけど見る?」

「うん」

僕は彩也香さんに先ほどの写真を見せた。

「これらくがきだれがやったの?」

「僕がやったよ」

「そうなんだ。それなら結構上手なんだね」

「あと、今日の写真も送っとくね」

 彩也香さんはスマホで今日の写真を僕に送信した。

僕はそのメッセージを開いた。

写真は合計5枚も送信されていた。

その写真は僕も彩也香さんもとてもかわいく映っていた。

「あやちゃん、とてもよく撮れてるね」

「でも、私そんなにうまくないから」

「あやちゃん、もうちょっと自信持ったら。めっちゃ落書き上手じゃん」

「ありがとう」

「そういえばあやちゃんは何か買ってこないの?」

僕がそう聞くと、「すっかり忘れてた~」と答えて「今から買いに行くね」と言って、昼食を買いに行った。

 10分ほどすると彩也香さんが帰ってきた。彩也香さんのメニューは中華麺だった。

「さやちゃん、私たちって似ているね」

「うん」

僕たちは昼食を10分ほどで食べ終わった。

「さやちゃん、スマホケース変えたいと思う?」

「ちょうど割れているし変えたいとは思っているよ」

「せっかく買えるならかわいいのにしない?」

「うん」

僕たちはスマホケース専門店に行った。

 そこのお店でパステルカラーのスマホケースがあった。僕はそのケースに一目ぼれをしたので、機種が合うことを確認してすぐに購入した。ちなみに僕の機種は世界で二番目に人気なスマホメーカーが作ったものだった。

購入すると、すぐにスマホのケースを付け替えた。

今までのケースは今日買ったケースの箱に入れた。

 ケースを購入した後も、3時間ほど彩也香さんと過ごし、家に帰った。

家に帰って今日のことを振り返ると「僕がこんなにかわいくなってもいいの?」という疑問が頭に浮かんだ。

そのことをSNS上であげてみると、「とてもかわいいじゃん」とか「私より全然かわいい」などのメッセージがたくさん来た。

僕はみんながかわいくなってもいいよと言っているようにとらえた。

ついでにライン公式アカウントの画面を開くと、友達数が700人になっていた。また、応援のメッセージもたくさん来ていた。みんなのメッセージを見ていると、かわいくなってからこらえていた涙をこらえることができなくなって、僕は部屋の中で静かに一人泣いてしまった。

「僕はこんなにかわいくなってもいいんだな」と思いながら。

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ぼくがこんなにかわいくなってもいいの? くわがた @kuwagata7690

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