第51話 うちあげ
「史也くんと一緒に写真撮れちゃいましたぁ」
うふふ、とスマホを眺めている山崎さん。この部屋に入ってから俺と美琴は、山崎さんやお姉さん達に写真を撮られまくっていた。
お姉さん達とのツーショットや俺と美琴のからみ写真。あーして欲しい、こーして欲しいと、色々と要望が多い。
キスシーンの再現については却下させて頂いたが、お姫様だっこはオッケーして、やってみたら「尊い」と言って鼻血を垂れ流す腐女子お姉さんがいたりした。
「山崎さん?」
「なんですかぁ、史也くん」
「山崎さんも『星屑のナイトメア』が好きなんですか?」
「うふふ、大好物ですよ〜。史也くん、
俺の両頬に両の手をあて愛無する山崎さん。テレビで見るよりもふわふわ系キャラだったりした。
「駄目だよぉ!」
「そうですよ、山崎さん」
「二人の仲は輝く星々よりも尊いんですよ!」
俺が食されるのを防いでくれた美琴と腐女子お姉さん達。
その後は俺と美琴の仲についてなどの質問が多々あり、美琴の腐臭話しには皆さんが爆笑していた。
カラオケも歌った。俺は十八番の歌でパーフェクトを叩き出した。カラオケのプロである山崎さんからメチャメチャ褒められたのはマジ嬉しかった。
「DZニーランドの仇は取ったぞ美琴」
「うん! やっぱり倭人くんは凄いね!」
「何、DZニーランドって?」
山崎さんに優勝した時のご褒美の話しをしたら、カラオケ店社員の福利厚生で特別割引券があるとかで、今度貰える事になった。
「はぁ〜、美男美女カップルかあ、羨ましいなぁ」
腐女子お姉さんのお一人がそうボヤいた。
「俺は至ってフツメンですよ。今は化粧しているだけですから」
「ほぉう、それは化粧してもフツメンにしかなれない、お姉さんへの挑戦かなぁ」
お姉さんの顔に青筋が……。 ヤバい。地雷を踏んだ!
「お、お姉さんは美人じゃないですかぁ」
「そう!? そう思う」
「はい! 目が細い系の美人さんだと思います!」
「うううう……、やっぱり目がぁぁぁ」
こ、これも地雷だった……。
「え〜とぉ、東山君だったよね〜」
お隣の山崎さんから不意に名前で呼ばれた。
「な、なんですか?」
「東山君、Gチューバーに興味はあるかなぁ?」
「Gチューバー?」
Gチューバーってのは芸能人や声優さん等のプロ系の人がやっているコンテンツで、バーチャルアバターで歌ったり、トークしたりする新手のネット動画配信だ。Vの有名人版だな。
「私たちがやっているサイトにゲストで出て見ませんかぁ?」
「俺がですか?」
「アバターはこっちで用意するから。美琴さんもどう?」
「わたしもいいんですか!」
「美琴さんの歌もエンジェルボイスで、綺麗な歌でしたよぉ」
美琴と山崎さんで何やら盛り上がり始まってしまった。今さら断れる流れじゃないな。
ネット配信か。それはそれで面白そうだな。
…………ネット配信? あれ?
◆
翌日の月曜日、一緒に登校している俺と美琴への視線がいつも以上に多く感じる。
「はぁ、やっぱりあのネット配信は止めて欲しかったな」
「……みんな、わたしたちを見ているね」
はぁ、今日の学校は荒れそうな予感だ……。
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