第3話

落ちては大きな水たまりに吸い込まれていく水を見て突然理解する。君が消えた理由と雨が初めて降った理由を。その二つに因果関係があると分かってしまった。そして知りたくて、呼びたくてたまらなかった君の名前も。


雨 君は雨の精だった。


大きな天の下にでて、羽を負けないように大きく広げた。

君にかつてほめられた自分の羽以外では見たことのない色合いの羽。色が並び、混ざり合い、柔らかく変化していく。きっとこれが何色なのかも分かるのだろう。


大きく羽ばたく。天がどんどん近づく。


雨君に会いに行くよ


ぱんっと乾いた音とともに妖精の姿は消え去った。


空に一本。見えない世界に繋がる見事な橋。

晴れ渡る空に虹がかかる。




           終わり

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

雨のあとには 瑠璃 @9387

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ