モモキング

@minato_kanade

第1話 入学

いってぇ。

ブリーチ3回はやりすぎたかな。


俺の名前は桐塚 弦哉。

俺は明日 とある高校に入学する。


前日の夜 気合を入れて

ブリーチを3回キメた。


明日から俺は番長を目指す。

仲間と別れ地元を飛び出し

たった1人で番長になる事を目標にしたのだ。


初日から絶対にかましてやる。


そう思いその日は夜8時に寝た。


次の日の朝。

結局興奮して眠れなかった。


新しい学ランに袖を通し

俺は家を出た。


朝日が眩しい。

番長日和だ。


家から5分もかからない場所に

その高校がある。


桃ヶ丘高等学校。

通称 モモ高。


地元では有名なヤンキー高校らしい。

それ以外の情報は全く知らない。

右も左も分からなければ

上も下も知らない。


ヤンキー漫画を読み漁った経験から

だいたい入学初日には

1年で一番強い奴を決める大会がある。


この高校もあるに違いない。


俺はその大会が開かれそうな場所を探した。


体育館に行くと誰もいない。


おっかしいなぁ。

入学式ですらやらない高校なのか?


すると1枚の紙が落ちている。


クラス表だ。


俺は、、、、、


名前を探すと

1年D組に自分の名前がある事がわかった。


その紙の裏には校舎説明が書いてあった。


モモ高は 1年生が使う校舎が4つあり

自分のクラスがあるのは西校舎のようだ。


とりあえずクラスに行ってみるか。


西校舎はすぐにわかった。

正門から1番近くにある校舎だ。


校舎に入ると

そこら中でヤンキーがたむろしていた。


1年D組の教室を見つけ中に入った。

中には30人ほどの生徒がいた。


さすがヤンキー高校。

全員目がギラギラしていて強そうだ。


ここで一発かましてやろうと決意する。


俺の名前は桐塚弦哉だ!

ここの番張る事以外に興味はねぇ!

雑魚は相手しねぇから邪魔すんな!


今年で1番の大声を出した。

気持ちよかった。


すると ある1人の生徒が口を開く。


それは勝手だけど

そうなる為にはここで1番強くないと。


そう言うと弦哉の周りを生徒達が囲んだ。


なんだこいつら。

入学初日ってのに団結力すげぇ。


弦哉は心の中で思い

大人数に囲まれたので少し後悔する。


全員相手にするのは面倒だから

このクラスで1番強いやつとサシでやらせろ。


弦哉は苦肉の策で

サシでの勝負を提案した。


すると周りを囲んだ生徒達が黙り込む。


1人の生徒が口を開いた。


今その人は不在中なんだよ。

良いからかかってこいよ。


そう言われ弦哉は構えた。


すると 教室の後ろのドアが開いた。


コツン、コツン、、、


松葉杖をついた紫頭の奴が入ってきた。

周りを囲む生徒達は

静かにそいつを見ていた。


周りの生徒達の態度ですぐわかった。

こいつがクラスの頭だ。

でもなぜ松葉杖? 怪我でもしたのか。

弦哉は混乱しつつそいつを見ていた。


紫頭は何も話す事なく

ゆっくりと席に着くと携帯を触り始めた。


この状況を無視して座るか普通。


そう思った弦哉は

周りの生徒をかき分け

そいつの席の前に立った。


弦哉は冷静に言った。


あいつの言ってる事も一理ある。

お前がこのクラスの頭なんだろ?

怪我人相手に俺もやりたくねぇから

お前は俺が番張るまで

黙って見ててくれよ。


それを聞くと

紫頭はゆっくりと立ち上がった。

よく見るとイケメンだ。

強そうでイケメンな紫頭を見て

弦哉は嫉妬した。


紫頭が口を開いた。


お前みたいな奴が

この学校で番張れるとも思わねぇし

今の俺にも敵わないと思う。

さっさと帰んな。


弦哉は眉間にシワを寄せ言い返す。


俺がここでお前ぶちのめしたら

このクラスの奴らは俺に文句ねぇのか?


紫頭はゆっくり頷き答える。


このクラスじゃねぇ。

この西校舎全員文句ねぇよ。


弦哉は少し意味がわからなかったが

ここは先手を打つことにした。


足を怪我した奴をシバくのは

心が痛いが仕方がない。

全力で右拳を振りかざし

紫頭の顔面めがけて振り抜こうとした。


ドゴッ、、、、、


教室ににぶい音が静かに響いた。


弦哉は唖然とした。


相手は構えていなかった。

俺が先に構え 全力で振り抜こうとした。

なのに 自分が振り抜く前に

先に一発打たれていた。


それも重く鋭い的確なパンチ。

効いた、、、。


少し動揺し相手を見ると

相手は先ほどと変わらず

松葉杖片手にスッと立っている。


もう一発だ。


弦哉は今度相手をよく見ながら

右拳で相手の顔をよく狙い

パンチを浴びせようとした。


だが その時にはすでに遅かった。

自分の方が先に攻撃を仕掛けたが

それを上回る速度で

左頬を拳で打ち抜かれた。


追撃はしてこない。

弦哉は動揺していた。


松葉杖ついた奴だから

油断したわ、本気で行くよ。


弦哉は苦笑いしながら助走をつけて

相手にパンチを仕掛ける。


だが その瞬間 紫頭は

松葉杖を思い切り弦哉の頭に叩きつけた。


弦哉は地面に倒れ 相手を見上げた。


お前より強い俺が

松葉杖(モノ)持ってんだ。

勝てる訳ないだろ。


それを聞いてすぐ弦哉は気を失った。


紫頭は気を失ったのを確認すると

つぶやいた。


そんなんじゃ取れないよ。

そんな覚悟じゃね。


紫頭は 周りの生徒達に

倒れた弦哉の片付けを頼み教室を出た。


この男。

名は村崎 空也。


今後桐塚弦哉の高校生活に

深く関わる事になる。






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