8月

Column1 「号泣」の使い方

 ——感動のあまり、映画館で号泣した。


 一見、よくありそうな一文ですが、このなかに誤った使い方をしている言葉があります。


 それは「号泣」です。

 よく、「声を押し殺し、大量の涙を流すこと」という意味として使われたり、捉えたられたりすることがありますが、「号泣」の意味は「大声をあげて泣くこと(『明鏡国語辞典 第三版』より)」です。そのため、声を押し殺したり、静かに泣いたりするときに「号泣」を使うのは適切ではありません。


「号」という漢字を『全訳 漢辞海 第四版』で調べてみると、「声高に叫ぶ」とか「声を出して泣き叫ぶ」という意味が記載されています。このことからも、大きい声を出して泣くことこそが「号泣」であることがお分かりになると思います。


 そのため、映画館で作品を見て感動し「映画館で号泣した!」という感想を述べていたら、ちょっと違うニュアンスになってしまうのでご注意を。


 ただ、多くの方が「号泣」=「静かに沢山涙を流すこと」のように捉えていらっしゃるので、『三省堂国語辞典 第八版』(第七版でも記載有)では俗語として「大いになみだを流すこと。『静かに号泣する』」という用例を掲載していました。さすが、『三省堂国語辞典』といったところでしょうか。


 しかし、まだまだ一般的な使い方ではないようなので、使用する際は注意する必要がありそうです。


 また『毎日ことば』にも「号泣」に関する内容がありましたので、文末にURLを掲載しておきます。気になる方は読んでみて下さい。


<関連URL>

『毎日ことば』 赤ちゃんが「号泣」?

 https://mainichi-kotoba.jp/blog-20181006

(補足:こちらのコラムでは、『三省堂国語辞典』に「号泣」=「大いになみだを流すこと。『静かに号泣する』」を掲載するに至った経緯も書かれていました)


『毎日ことば』 人前で「号泣」しますか?

 https://mainichi-kotoba.jp/photo20200624



*2024.4.21追記*

「号泣」の俗語について「静かに沢山涙を流すこと」と書いておりますが、辞書の内容を正確に捉えますと「静かに」はなく、単に「沢山涙を流すこと」「激しく泣くこと」という風に使われていることが改めて調べた際に分かりました。


 そのため、ここに記載されている内容は本来伝えるべきないようとズレております。お手数ですが、「号泣」については下記のURLも合わせてお読みいただけますと幸いです。


『割り切れない日本語』

Column1 「号泣」は単に「大量に涙を流すこと」?

↓  ↓  ↓

https://kakuyomu.jp/works/16817330663418963966/episodes/16817330665456464863

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