23 馬淵佳鈴は、子供売りの極道の連中に犯され、30人の子供を孕まされた挙句、子供を売り飛ばされた。

 闇の実力者と、光の実力者は紙一重なのだ。


 簡単に入れ替わってしまう。睨みを聞かせているのだ。


 闇から見ている。


 殺意がのぞいて居る。


 失言したのを見ている。


 彼奴気に喰わないな。


 闇の勢力圏の誰かがそういって、その棟梁もそういって、其れが広まれば、消される。


 この世界の見えない、黒い方程式。


 責任者は、見られている。


 適当な事をしていると殺される。


 ジャーナリストのジャーナルなんかよりも、命が危ないのだ。


 社会的に死ぬというよりも、其の儘命が取られる殺される。


 悪人だから許される。


 正義だから許されない。


 悪人で在るのを、理由に犯罪行為を繰り還す。


 誰も止められない。


 核戦争だとか、空爆だとか、銃撃戦だとか、そういった、大層な、戦いでは無く。


 小さな殺し、確かな悪。


 だからこそ太刀が悪い。


 危ない。


 若い女の奴隷を組の若い男と、性交させて、子供を身籠らせる、其れで出来た子供を、子供の欲しい人間に高値で売り飛ばす、女は永遠と子供を身籠って、死ぬほどの痛みを味わって生んだ子供を他所に買い取られ、又誰か知らない若い男と性交させられ身籠って生んで、その子供は売り飛ばされて、身体が使える内は、組織の商品として永遠に子供を作らされた。


 もう何人の子供を産まされたのかが分からない。


 地獄のような毎日だった。


 親が借金塗れで、その借金を返す為に、組織にこうして非人道的な事を永遠とさせられ逃げようにも逃げられず、電話や携帯、政府に助けを求めようにも、誰も助けてくれなかった。


 極道が怖いからだ。


 怖くて手が出せない。


 一人や二人、位の犠牲は仕方がない、政府のやり方はこうだ。


 子供が売られているのに、人間の子供が裏で売られているのに誰も気付かない、買う人間も買う人間だ、誰の子供鴨分からない子をまるでペットの様に買うのである。政府は此れも黙認している。


 「此れが、腰抜けの政府か。」


 極道が怖いんだ。


 奴らは、軍隊こそ持っていないが、確かに、拳銃や、ライフル、マシンガン、刀、ランチャー程度の武器は隠し持ってる、だから変に刺激すると、一般市民に危害が及ぶ其れを未然に防ぐためにこうした、極道の被害者はあとを立たない。それも数人だが、やはり彼らに捕まったら終わりだ。


 性産業の餌食にされる女もいる。


 こっちは、好んでその餌食、詰まりセックスが好きでこの産業に入るのもいるから、その実態はまちまちである。


 男は、運びの仕事が多い。


 遺体を積んだ、トレーラーや、武器が積んであるトラックを運ぶのである。見つかったら、自身の命で償うしかないのだ。


 其れから、殺しの任務である。


 徹底的にミスをしないように、教育され、完全なる部下としての洗脳を受ける。


 そして、危険な任務を受け、其れは悪の任務である、自動的に機械の様に人間を殺すのである。この殺し屋の育成に多くの人間は死ぬ。


 殺し合わせて、突いてこれなかった者は、殺される、犠牲になる。


 「殺しました。」


 暗殺 弾鉄 は、殺しの報告をした。


 「よし、よくやった。」


 「遺体を回収次第、すり替えを行う。」


 今回暗殺したのは、国の大統領だ、この大統領とそっくりに整形させた、この組の幹部が、徹底的に教育され変装の達人となった幹部が入れ替え割るのだ、お釜の幹部である。


 「ついたわよお。」


 おねえ言葉で、挨拶をしてくる。


 「くれぐれも、気づかれないよう・・・」


 その姿を見て驚いた。


 見分けがつかない程の完全な変装であった。


 「この次は会議か。ん?意味は早くその袋を持って部屋を出なさい。」


 完璧だった。


 完璧な変装だった。


 此れでこの国は私たちのものだ。


 「ゴミみたいにあたしを扱った、あの極道の連中を許さない。」


 子供を三十人は生んだ。


 産まされた。


 殺してやる。


 この組を殺してやる。


 馬渕 佳鈴には、憎しみの目がギラギラ黒く光っていた。


 我が子の成長も見られず、知らない男に犯され、自殺してもおかしくなかった。


 しかし、耐え抜いたのだ。


 遂に脱出の経路を見つけた。


 この牢屋からの抜け道、ずっと大きくしてきたこの穴。


 少しずつ掘っていった、ばれないように音御立てずに。


 監視カメラが唯一監視できない、この場所を奇跡的に見つけるのに三か月かかった、其れからこの、鑿で少しずつ少しずつ、この外への脱出の経路を掘っていった。


 そして、遂に脱出した。


 私は走った。


 走って逃げた。


 そして警察に言った。


 信じてはもらえなかったが、私は確かに地獄にいたのだ。


 その施設の場所と、組織の実態を私は詳細に警察に説明した。


 あの穴がばれるのも時間の問題だ、そうすれば、必ず奴らは私を追ってくる、殺しに来るのだ。


 私は、身の安全の為に匿ってくれと警察に懇願した。


 私は署に匿われたが、安心は出来なかった、組織の連中が、この場所に忍び込んで、上手く私を殺しに来ないとは限らなかった。


 私は、ぶるぶる震えて、隣の警官に用心するように訴えかけた。


 案の定、奴らの手先がやって来て、警官を拳銃で撃って殺した。


 遺体を回収し、変装隊の変装員が、その警官に成りすましていた。


 殺される。


 そう観念した時、署の本部がやって来て、


 「良かった、外で一般車に乗って監視をしておいて。」


 と言って、入って来るのである。


 此れは勝ったと確信した。


 私は人質に取られない様に、すぐさまその場を離れ、警官のバリケードの中に入った。


 私はふと思った、私の生んだ三十人の子供達は如何しているのだろうか。


 と。私は罪の意識に苛まれ死にたくなった。


 そして、私の様に彼等の奴隷として子を産まされ続ける被害者が、あと何十数人は居るのだ。


 警察には、直ぐにでも捜査を本格化させ、取り締まってもらいたかった。

 警察は捜査の結果。


 その三十人の子を見つけ出したが、もう、既に私の知る子では無かった。


 売られた先の金持ちの、家によくされて居るのだなと思った。


 悲しくて死にたくなった。


 私は、本当の親だが、彼彼女達が其れを知る日は来るのだろうか。


 そして、その子供を御金で買った、その家は果たして健全な家と言えるのだろうか。


 かといって、私の経済力では、三十人もの子供を育てる事は出来ない。


 私は、彼等彼女等の事を忘れて、生きていくしかないのだろう。


 此れも、定めという奴では無かった。単純にあの組織のせいだった。


 あの組織の理不尽な扱い。


 非人道的な搾取のせいだった。悔しかった。


 私は、その後整形をして名前を変えた。


 組織の残党共に目を付けられない様にだ。


 現在は、警察の本部長に助けを借りている、本部長はこの問題に全力を尽くすと言っていた。今も捜査中だそうだ。


 私は警官に成って、悪を懲らしめる為、捜査に取り掛かっている、こういった犯罪を取り締まるのが我々警察の役割だ。


 必ず悪を暴いて見せる。

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