18 夢が叶わないんだったら死んだほうがマシだ。もう生きてる意味なんてないよね、死んでやる。

 親が嫌いだったっていうのは、あるだろう。


 親と上手くいっていないのだ。


 特に父親である。進路の事は殆ど話さなかった。


 親に頼りたくなかったのだ。


 如何もあの父親を見ると殺したくなるのは何故だろう。


 不思議だ。反抗期なのか。


 違うとっくに其れは中学生の時に通り過ぎた。


 だとすると、此れは純粋に嫌いならしい、色々理由は在るが、父が嫌いなのだしかし、私の様な働いても居ない人間が親を頼らずにやっていけるはずがない。


 家族の力無しに独立できるはずがない。


 力不足。


 まさにその言葉。


 大人に成りきれていない大人。


 金銭的に自立できていない大人。


 助けを借りている大人。


 子供から見て恥ずかしい大人。


 こんな風になってはいけない、大人の失敗例。


 其れが私。


 間違った人間の末路。


 道を踏み外した人間の最終形態。


 其の、何物にも成れていない、格好の悪い姿。


 容姿だけは、未だ高校生の様に若い。


 日に当たっていない白い肌。細い体。


 ストレスで抜けてしまった髪の毛。


 噛んで、短くなった爪。


 諦めの悪い性格。


 未だ、見続けている途方もない夢。 


 「あの子はもう駄目だ。あの子はもう駄目なんだ。」


 「きっと、もうあの子はやり直せないわ。」


 「今更、始めたって遅いわよ。」


 「あの子は、もう死んだわよねえ。そんな人も居ましたっけねえ?。」


 忘れられていくのだ。


 僕の存在自体が薄く希薄になってきている。


 彼等から見た彼はきっと、荷物に違いない。


 こんな失敗作。


 荷物。


 家の荷物。


 財産喰らい。


 脛かじり。


 完全なる悪の存在。


 彼等から見ても、もう、こんな体の大きな、こんな失敗作は要らない。


 廃品処理に出されてもおかしくない。


 頬っぺたを思いっ切り叩かれた。


 こんな子に育てた覚えはないといって泣いていた。


 知らなかった。そんな事を言われても、如何することも出来なかった。


 只頬っぺたが熱かった、痛かった。


 僕は泣きながら部屋に戻って、この家を出る決意を固めた。


 「僕は、この家から出ていく。もう帰って来ない。」


 そういって、彼はこの家の人間ではなくなった。


 完全に家とも縁を切ったのだ。


 遂に家族が居なくなった。


 家族が居ないというのは、開放感があって、なかなかに良かった。自分の関係者がもう誰もいない。完全なる独りとなったのだ、私の事を知る者は誰も居ない。


 完全なるリセット、別の人格、自分、人間。髪の色も、長さも髪型も変えた、僕は完全にそう完全に、違う苗字の人間になり、名前を変え、違う人間としてこの、知らない街で過ごすことになるんだ。


 誰も僕の連絡先さえ知らない。


 そう、此れは完全な孤立、しかし、こうでもしないと彼はいけなかった。耐えられなかった。此れくらい徹底して違う存在にならないともう、死んでしまう程の大きなストレスを抱えていたのである。


 引っ越しが済んだ彼は、部屋でボーと鬱病の様な、生活を続けていた。放心状態が続いていた。


 やがて、又大学に進学しようと勉強を始めた、ずっと勉強は捗った。


 図書館に通って一年一日十二時間勉強した。漸く次の年の受験で合格し晴れて大学生となった。


 大学生時代は、如何した訳か運動部に入って、もう其れは忙しく、練習と、勉強の日々を送っていた。


 友達の様な存在も出来、全く違う環境に身を置いたのはやはり正解だったらしい、この街では、よい友人が出来、仲間が出来た、此れ迄の友達は、完全に赤の他人になったが、こういうものなのかも知れないと思った。


 住む場所が変われば、其れまでの人間 関係、友人も変化し、もう話さなくなる、違う人間同士になる、そういったものなのだ。


 もう僕には、僕は全く違う別の自分で、僕を知る者は誰も居ないはずなのだから、知り合いでも気づかないはずだ、髪を伸ばして染めた。


 そして、名前と戸籍を変えたのだ。これで気づく人間の方がエスパーか霊感の高い人間くらいのものだろう。


 僕は変わったのだ。もう、僕は・・・。居ないのだから。


 大学在学中に彼は幾つかの難しい資格を取得しておいた。


 又、社会勉強に、様々な企業のインターンシップにも参加した。


 そうしている中で、大企業や、中小企業様々な企業の良さと、悪い処実態を調査して、其れが彼にとって良い経験になったことは言うまでもないだろう。


 労働をあれほど嫌っていた彼が、この様なインターンシップやらに、ちゃんとした服装で参加し、其れを経験にしようと、必死になっているのだ。


 彼は、その後、就職せず、大学院に進んだが、途中で中退し、何か事業をはじめることにした。


 事業は、はじめこそ芳しい成績は残せなかったのもも、三年後のある日を境に急速に大きく成長した。其れはもう進化だった。


 IT系のベンチャー企業だった。


 物の見事に当たって、売れに売れて、もう其れは、世界的に成っていた。


 こうなってくるとマスコミやらなんやらに、偽名を使っているとばれるのでは無いのかと、警戒したが、誰も気づかなかった。


 それほどまでに雰囲気も、声も話し方も、匂いも変わってしまったという事だろうう。


 如何して、貴方は如何して貴方は、そんなに自分勝手なのですか。


 如何して、他人に迷惑を掛けるのですか。


 将来は如何するつもりなのですか。


 上手くやっていく見込みは在るのですか。


 恵まれて居なかったと思いますか。


 とても、恵まれていたと思いますか。


 年下に負けた感想はどうですか。


 最年少の天才に負けた感想はどうですか。


 どうですか。


 十代の天才に負けた感想は。


 どうですか。 


 自分が十代の頃は、こんなに、出来なかった。ん???。


 いいや。そんな事は無い。其れが出来る環境が無かっただけだろう。


時間が無かっただけだろう。僕は、其れを知っている。


時間も、財産も無かった事を、決してそれだけが理由でないにしろ、不運は重なっていて、良い環境では無かったことを、良い状況では無かった事を知っている。僕が時期に叔父さんにに成ってお爺さんに成っていった時にきっと後悔する生き方をしている事を知っている。


 もう殺してほしかった。


 これ以上生きるのも厭だった。


 後悔がある、心残りがある。


 そんな人生であった。


 そうあの時、あの場所で、全ての歯車は間違った方向に回り始めた。


 あの時如何して僕は、放心していたんだろう。


 どうして僕は、あそこで、更に先に、更に奥へ進まなかったのだろう、その可能性はあったし、その時ににしかできなかった事が確かに有ったのに、何かに遠慮していたのか、其れがマイナスに働くと思ったのか、自分が邪魔になるとでも思ったのか、如何してそんな風に考えてしまったのだろう。


 あの時、あれは、如何してそうなってしまったのか、理由は分からないけれど確かにあの青春の時代、その青い時に僕は、大きな、人生の転換期にその事、此れは経験が起こった。


 其れは、決して悪いではなく寧ろいいものであった。


 此れ迄。彼の人生の中で、上手くいった事なんて何一つなかった、例えば運動系、スポーツに関しても駄目駄目の、間抜け、だった。


 勉強も大してできなかった。


 僕は、人生の破滅に、いいや、もう友達も捨てて高校受験の勉強を死ぬ気でやった、そして何とかギリギリのラインで合格できた、僕はそれから、一日の大半を勉強に費やしたその結果、僕は、遂に学校で十番の指に入る成績を残すまでになった、模試でも上位の成績を残すようになった、しかし、僕はその体験、いわば其れは余りにも楽しすぎたのかもしれないが起こってからは、彼は、その所謂、スポーツというのを真剣にして、本気になってして、遂にそのスポーツの重要性、其れは、詰まり、圧倒的なそういった大会の面白さ、競い合う事の素晴らしさ、其れは、友達、其れア確かに友達だった、練習をする仲間だった、其れは、単純に彼には楽しかったのである。


 そしてくしくも願ってしまった、自分も、高みに行きたいと、

 

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