13 自然科学
「あんただって好きな子の一人や二人くらいいるでしょう。」
この論法は聞き飽きた。そんな者は居ない。
少なくともお前を見ると殺したくなる。
お前が、悪人で、消えて居なくなればいい事だけは分かる。
「大事な人もいないの?。」
「ねえ。貴方は、人がされていやな事をどうして平気で出来るの?。」
「意地悪がどうして出来るの?、ねえ。酷いと思わないの。自分の好きな人に同じことが出来るの。私にだけ意地悪するのはやめてよ。」
その、女は言いました。
「死ねや。」
その女はぐたりと斃れました。
床には血が飛び散り、腹部から血が流れ、辺りはその地の匂いと、赤に染められています。
「やっと、死にやがったか。気に喰わねえんだよ。だから殺すんだ。」
「ゴキブリを見て、其れを殺すのと、御前を殺すのは等価なんだ。私にとってのお前はゴキブリか蠅でしか無かった。」
男は、女の死体を蹴飛ばすと、すぐさま燃えるゴミ袋に入れ、山に捨てにいった。
この辺りは熊がいるんだ。
この遺体をプレゼントしてやろう。
未だ、ドライアイスで冷やしてあるから腐っていないはずだ。
よしこの辺りだろう。
この、密林は、熊、猪、狐、猿、狼、寅が主に潜んでいる。
この遺体はいずれかに喰われ、骨にされるだろう。
そして犯罪の証拠は隠滅されるのである。
化けの能力。
化かしの能力。
無機物に命を与える化かしの能力。
周囲の物体を物質を、お化けにかえる能力。
カップが、化け猫に変わる。
電気が、電気鼠に変わる。
無機物が喋り出す。
確からしく万物が喋りだす。
其れはアニミズム的な何か、その霊感。化けの能力。
この世界は虚構で出来ている。
人間は、目の前の現象を化かす。
存在しない架空を作り出す。
其れは、非凡。非現実。
しかし、嘘ではない、そんな架空の現象。
合理的な架空。
確かな実態。
其れは、イメージのし易さ。
確かに、存在すると、信じさせる事、其れだけで、其れは実在に変わる。
認識の中に存在するものは、実態を持つ。
其れは物理的には存在していないのかもしれない、しかし認識の中には確かにいるのである、その架空の、何かが。思い出が、空想が、その物語が、生物が、概念が、いるのである。
目で見て分かる架空が、其れを創作できるのである。
絵画。
音で表せられる虚構があるのである。
音楽。
匂い。
お香。
味覚。
料理。
感覚。
皮膚。
温度。
全てが過去の記憶、情報の組み合わせ。
抽象化。論理。現実と、確かな数学。
その神。
により創られているのだ。
或るものはいった。
この方程式は私が創ったのではない。
神が与えてくださったのを、私は理解し、記しているだけだ。
また或るものは、此れは私が描いたのではない、神が私に与えたイメージをもとに描いたのだ。
この絵は初めからこうなるようにできていた、ずっと以前からこの絵のイメージは、この絵を描くための記憶は、過去は用意されていて、私はその未来を見ていた。
その神を私は追いかけていただけだ、そんな糸を、細い神の糸を手繰り寄せると私は遂にこの絵に辿り流いた、其れは予言めいた絵であった、私もどうしてこんな絵になったのか分からない、しかしたしかに神はいた、この絵はたしかに未来に起こった。のだから。
神は死んだという言葉さえ神の肯定に他ならないのだ。そもそも神は生きていないのだから。
死んでいるのだから。
神は存在していないのだから、確かに神は見つけられる。論理の中で、やはり神に辿り着く。
神の存在証明。
僕は、神を知っている。
何処知ったのかは分からない。
生れた時からその存在に気付いていたのだと思う。
死んだらどうなるのか、生まれる前はどうだったのか、何てことは科学的に分かるようになったとしても、如何して其処に論理があるのか、理論があるのかは分からない、分からないけれど、確かに其処に論理がある、理論がある。
此れは、おかしい。
一体誰が何の目的で、この様な法則。
つまり論理を創ったのだろう。
其れは人間が、都合のいいように物理現象を解読しているから、其処に方程式が
其の論理が、法則が或ると言っているだけだろうか。
否、確かに其の論理は存在するのである、論理が何かしらの物理現象によるものだとして、其れがいずれ解明されたとしても、果たしてその物理現象を作り出したものは誰なのだろう、ビックバン、インフレーションを誰が起こしたのだろう、仮にそのビックバンや、インフレーションが物理現象で、何かしらの物理現象で、確かな宇宙の始まり方があったとして其れが科学的な説明の出来るものであったとして、果たして、その説明がどうして出来るのだろうか、その論理は何処から来たのだろうか、そういった科学的現象は、どうして存在するのだろうか。
例えば、真空、何もない空間だとか、ボイル・シャルルの法則だとか、微分・積分だとか、ニュートン力学だとか、四っつの力だとか、そんなものがどうして存在していて、其処に法則があり、確かに相互作用があるのだろうか、此れは誰の仕業だろうか、神じゃ無いにしても確かにその法則は存在していて特定の状況下で使われる。
こういった物理現象が、誰によって創られたのか、一からあったのかは分からない。
しかし、どうして無つまり0が存在しているのか。
一からあったのに、どうして0が存在するのか。
其れは神の仕業としか考えられない。
其の、法則が、存在が神のもので在るとしか考えられないのである。
数学上の多くの発見がどうして起こるのか、又、其処に何があるのか、何かあるのだ、其処にも方程式を思いつくのにも法則があるのだと考えるのか、時間の仕組みは、光が最速で、普遍なのはどうして、理由は分かっても、誰がその法則を創ったのかは分からない。
一からあったのか、一は一つの力であったという。
その一の力が分離して時が出来、空間が出来た。
物質は、原子核を創り、光子を創り、ボース粒子、クオーク、レプトン、ハドロン、ウィークボソン、ヒッグッス粒子、重力子、グルーオン、種々の素粒子を創った。その過程は偶然だったのだろうか、どの様な過程で覆ったのだろうか、そうして始まる前の物理法則に保存則はあったのだろうか、全ての素粒子の運動量と向きが分かればあらゆる未来は予言できるのだろうか、向きは誰が創ったのだろうか、一から或るものなのだろうか、ベクトルも、回転も、発散も、そういったものは。
一からあったものなのか。
反対のエネルギーを持つ物質も、そういった理論上の者ものは、一体どこにあって、誰が見つけるのだろうか、見つけた人間はどうなるのか、宇宙人も、其の仕組みも解明できたとして、一体誰がこの様な時間を創ったのか、時間は、どの様にして出来たのか、其れを創ったのは何者なのか、一からあった訳ではない時間。始まりは0だったはずだ、時間さえなかったのだ。
そうすると何もない所に一体誰が何を置いたのか。
創ったのか。誰が。何かの一の始まりの現象を起こしたのか。
ドミノを倒したのは誰なのか。
風が吹くわけでもない、何もない空間に風は吹かない。
何か、が起こるには何かが無ければならない。
一から法則があったとしても、その法則でさえ何かであって、其れにはその法則には何かがある。
何かの何かが何かでそうなったものだ。
その何かは一体何なのか。
科学で分かるものなのか。
実験出来るものなのか。
理論には出来るだろう
が、その理論がどうして出来たのだ。
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