12 天才発明家  山の中ノ天狗と天才商売人 金玉 運 ストーリテラーの徒然。

 山の中ノ天狗は、外に出なかった。


 運送業者の売り物屋は確からしく世に溢れる便利商品を売り飛ばした。


 天狗の処にまで運送業者はやって来て、家や、新聞、パソコン、タブレットを売りつけた。天狗は、それらを使って、発明をした。


 その発明品を、運送業者は買い付けて、利益を出し、その売り上げの五パーセントだけを懐に入れ天狗に又贈り物を送った、天狗は又その贈り物を使って発明をし、其れを運送業者は買い付け、売り飛ばし、売り上げの五%だけ天狗にわたし、自分は相当羽振りが良くなった。


 或る日天狗は、その運送業者の家に行ってみると、運送業者はもう大金持ちで富豪になっていた。


 その自身が創った発明品も、上手く利用され、其の発明者である自分の、名前が何処にもなかった。


 金玉 運 其れが、この商人の名前だとその時に知った。


 運は、私が発明者だと明記せずに、売っていたのだ。


 けれど、私は、山奥でひっそりと人と関わらず過ごしていたかった。運の家に来たのも、変装してきたのだ。


 「僕の発明でこんなに多くの財産が生まれるなんて、君は一体どんな手を使ったんだい。」


 天狗は尋ねた。


 「いいや。なんて事は無いさ。君の発明が画期的で其れはもう、大変なだけさ。君の名前が後世に残らないのが悔やまれるくらいさ。この発明がなきゃ、この会社は出来なかったんだからね。」


 天狗は思った。


 僕を仲間に入れてくれないのか。


 とすると運は、


 「君は、僕の右腕だ。いいや。君がいなきゃ、この会社は成り立たない。」

 と言いました。


 天狗の非凡を表すのに、多くの逸話があります。


 天狗は時代を先取りしたものを、何も見ずに、ネットと電子書籍だけを頼りに、独学で、一人山の中で研究をし、運にお使いを頼んで、新商品を作ってしまうのでした。


 運はその商品を上手く説明して、売るのです。


 其れはもう画期的で便利ですから、売れます。


 そして工場が立ちます。大量に生産され、大量に売れます。


 世界で有数の財閥にさえなっていました。


 烏天狗の加護を受けた財閥、あの画期的なアイデアは何処からやって来るのか、其れが業界での謎でした。


 その度に金玉 運 は、有能な研究者の努力の賜物ですといって、その発明者が天狗で、自分は、化け猫である事を包み隠しにしていた。


 化け猫商会は、世界的大企業だが、その創始者が、金玉持ちの化け猫だと誰が気づいただろうか、その製品を山の奥に住む烏天狗が創っていると誰が知っているだろうか。


 後悔と懺悔の心に苛まれた。


 此れは。殺害と殺戮の歴史が人類に科した罰だった。


 贖罪の心が鈍く私を苛んだ。


 人間に成って思ったのは、その懺悔の心が余りにも深く重く、闇の深い事だ。


 こうも、贖罪を覚えながらも、生き物を殺し、同族同士で殺し合い、奪い合いをしなくてはならない、のだ。


 戦争をやめさせようと、必死になって訴えかけた、王の娘は、死んで神様として祀り挙げられた。この娘は休戦の女神となったのだ。


 その娘の皮きり文句は、死んだら元も子も無い、協力して、経済を活性化させ、科学技術、学問、異文化交流をして、人類の成功、いわば発展を、築きましょうとの事で、平等に、領土を分割し、利益を裁定し、最善策を提示し続けた。


 しかし、彼女が死んだ瞬間、またしても戦争は起きた。


 彼女の異質性がよく分かる。


 彼女は人間でありながら、神の様な、勤勉さと、論理、哲学、知識、科学力を持っており、その政策がもはや神だったのである。


 しかし、彼女は余りに良い治世を亜覚めたので後継が無く、次の世代は荒れた。


荒涼として争いが起こり、人々は争った。其の時代は、暗黒の時代で、何の記録も文書も燃やされて焚書されて居た。


 その時代の貴重な文書には、数々の知恵者の、知恵者による、ストーリがテラーされて居た。


 今後世界が何処へ向かっていくのか、どのような人物が国の総理大臣や大統領、総書記になり、世界の人口は幾らなり、どのようものが主食になり、主要産業は何に成り、貨幣価値はどうなり、どのような人物が現れ、どの様な学問や産業が生まれ、未来がどうなるのかが確かな知識と統計、幾らかの霊感から予想されて居た。


 そういった物語がテラーされて居た。


 物語に需要が在るとしたら、其れは、一体どういった物だろう。


 霊感による、社会意識の反映だろうか、将又、知識と確かな情報に裏打ちされた、現実味のある物語だろうか、難しい哲学だろうか、ストーリーテラーは、客観的に、世界の、社会の現実を映す。


 其れは、まるで鏡の様に、其の見てはいけない側面を、普段は見逃されている側面を、社会の暗黙を映し、告発する。警告する。


 社会全体に警告する。


 ストーリーテラーは物語で、社会に幾つかの道を示す、拠り所を示す、困った時のガイドを示す。


 そのストーリーには、ストーリーテラーの人格があるのではなのか。主観的なのでは無いのか、と思われる読者の方もいるかも知れない。


 しかし、どうだろうか。全くに主観的で、破滅しているものは恋愛位なものだ。


 恋愛。


 これだけは、平等でない。


 不条理極まりない、ルール。


 勝ちが何で、負けが何なのか分からない。


 曖昧。


 苦しみ。


 世界の理不尽。


 理性的で無い、悪の現象。この世界に於ける唯一の悪。


 其れが、恋愛。


 消すべき、非合理性。


 ストーリーテラーは恋愛に、方程式を見つけなくてはならない。


 法則。


 非合理性の法則。


 其れはカオスなのかも知れない。


 ストーリーテラーは恋愛を苦手とする。


 非合理的で、突然起こるその恐怖に脅えている。


 愚か者の、俗物は優柔不断な、恋愛馬鹿が多い。


 恋に落ちやすい人間程、人を不幸にするものだ。


 そして、罪で或るのだから、裁くべきだ。


 好きになってしまったものは仕方がないなどというのは、逝かれた恋愛狂のいう事だ。恋愛は悪。


 無くなるべき存在、概念。

 

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