第12話
遂に映画もクライマックス。つい映画が面白く、見入ってしまったが意外と感動できる内容で泣きそうだ。だが、映画ではあまり泣くこともないし周りに人がいると、泣きずらかった。
ひょいと隣を覗くと、口元を手で押さえながら泣いていた。こんなに、物事に感動できる人を、尊敬する。それに比べて、俺は周りからの視線や評価ばかり気にして自分を表に出さずに、隠れていく。それのせいなのか、いつしかコミュ障になってしまい、人と話すのがよりつらくなった。
(やっぱ浅倉さんはすごいな…)
そんなことを考えていると、自然に涙が出てきた。自分でも驚き、涙をぬぐうがそれでもあふれ出てしまう。
涙で濁った視界のまま、スクリーンを見るともうエンドロールになっていた。
「わかる。ラスト、泣けるよね」
ぐすんと鼻を鳴らし、感想を述べているが、まったくわからなかった。そして、クライマックスを回想シーンで見逃したという前代未聞の事実。
「せっかく金払ったのに…」
などと供述しており…
おい、千夢。頼むから、その悪魔みたいな顔で、「何感情に浸ってんだよ~」「これじゃ雪乃ちゃんもがっかりだな!」
とかいうのをやめてくれ。いや千夢は無実なのだが。
(まあ、もう切り替えていくしかないな)
「なんか行きたいところある?」
「あ、あのさお腹いてない?」
映画に入った後に、時計を見ることがなく気が付かなかったが、今時間は1時を回っている。お腹が減っていないかと聞かれたら余計にへってきてしまった。
「今、腹減った」
「どういう事…?まあいいや」
「ついてきて」と言われたので、湊は言われたとおりについていくと、そこには大きな公園があった。いつも、視界には入っていたが、ちゃんと見たことはあまりなかった。改めてみてみると、大きさは学校のグラウンドの3倍以上あり公園といっていいのかが不安になるほどだった。
「あ、あそこのベンチにしよ!」
「な、何するの?」
お腹がすいたというのに、公園に行くとは思わず湊は頭を悩ませる。
「実はさ…お弁当作ってきたんだよね」
果たしてどんな弁当が待っているのか!?
お隣に住むクラスメイトになつかれていた件 さーお @aoao3ka
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