Ⅶ. 帰星後に......

 地球へ向かった真のミッションは、地球人異性との関係を築く事ではなく、

地球人異性と1週間で、身体の接触を伴わず、恋愛ワードも使わずに、感情を抱かせる事。

 そして、その感情を引き摺る事無く別離を実行する事。


 1週間という期限付きで、地球人を相手に、これを達成するのは、難易度が高く、これまでクレリア星の研修生の成功率は、わずか1%弱だった。


 僕は、どれも達成出来ていた!


 にもかかわらず、誤算が1つだけ生じていた。

 星来に、伝えるわけにもいかなかったけど......


 自分の姿が、地球人が最も嫌うGと宣告し、星来を諦めさせようと難航していたわりに、実は、僕の方が、星来への想いを心に引き摺っていた。


 だから、強硬手段を取った!


 星間移動用のUFOを不時着させ、星来との交流データを破損させた。

 脳内再生も読まれないように、その記憶部分の脳内のデータも強制消去した。


『セーライ、あなたほどの優等生が、このような不祥事とは、どういう事ですか?』


 教官は、予期せぬ事態に頭を悩ませていた。


『小惑星と衝突しそうで、避けようとした拍子にトラブルが発生しました』


 レコーダーも、自分に有利なように細工をしておいた。


『残念ですが、止む負えません。あなたには、また次回、同じミッションに再挑戦してもらいます』


『はい』


 教官の言葉を受けて、思わず、顔から笑みがこぼれそうになった。


 これで、また星来に逢える!


         【 完 】

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想い人は、1週間だけの宇宙人 ゆりえる @yurieru

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