第2話 意義

光が…事件を起こしている?

何かの冗談だろうか。

とにかく俺は混乱していた。

光は俺の友達で、同僚で、そして――

――殺り合った仲だ。

それに、彼は華と付き合っている。

事件を起こす必要が無い。


なんせ、華は――『最強』だから。


あれがヒーローで無かったらと思うとゾッとする。

彼女は水爆三つ分に匹敵すると言っても過言ではないのだ。

俺はそれを強さで落とした彼が向こうに行く理由が何一つとしてわからない。

でも……あの時のように殺し合ってでも、

彼を止めたいと強く思った。

自分の意志を確認しながら走っていると、

またアナウンスが流れた。


「結界が消えました。中には数十の死体がある模様です。周辺にいる皆様は直ちに避難してください。繰り返します。周辺の……」


「―――っ!」


間に合わなかった。

目の前が揺れる。

走れ。彼を、彼を俺と、同類に、するわけにいかない、から、でないと、俺は、どうして


「キャァ――っ。」


悲鳴が聞こえた。

意識が呼び戻された。

俺は、逃げたかったのかも、しれない。

進路を変えた。


「たっ助け――」


「逃げてください!」


そこには腰を抜かしている女性と――


「こんにちは!もしかして偽善さんですか?」


腰から下が血に濡れた白髪の――

幼さの残る少年がいた。

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偽善さん 牛朱 @ushu

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