6-5
「詩編のことなんだけど。」
放課後、私は珍しく瑠夏先輩と落ち合っていた。
場所は、屋上だ。
詩編先輩は昼休みの後は大人しく帰宅したらしく、今日はもう学校にはいない。
「はい。」
瑠夏先輩が何を話すのかと、嫌な汗を掻きながら、私は彼の言葉に耳を傾けた。
「昼休みの間だけは、一緒にいてやってくれないか?
あいつが体調悪くて無理をしているって気付いても、せめて昼休みの間だけは一緒にいてやってくれ。」
まっすぐに私を見つめる瞳。
「わかり、ました。でも、なんで・・・?」
詩編先輩が嫌がるって言うのは、今日の感じを見ていて気付いたが、なんであんなになるまで拒否するんだろう。
「いつか、お前には話さなきゃいけなくなる日がくるだろうと思っていたよ。」
「え?」
瑠夏先輩が残念そうに呟いた。
それから、私の両肩にそっと手を置いて、身長差を埋めるように屈むと、私の目線に視線を合わせた。
「詩編に直接、聞いてくれ。」
あまりにも瑠夏先輩が真剣に言うものだから、コクンと首を縦に振る。
「それと。
何があっても詩編を見捨てないでくれ。」
縋るような瞳。懇願するよな瞳。
瑠夏先輩は、心から詩編先輩のことを考えているって、何度も思う。
“あのね、最近おにいが悩んでいるように見えるの。”
あ。瑠夏先輩の悩みって、詩編先輩だ。
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花曇り 藤島花乃 @kano2240
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