ブルーディストーション 【青い歪みの旋律】

@tougensai

第1話 青い歪みの旋律

真夜中、誰もいない街を走る少女の姿がある。

少女は手に刀を持ち前方を物凄いスピードで走り去るナニカを追いかけている。

ナニカは走るのをやめた。ゆっくり少女に振り返る。

それは人の姿をしておらず、目は大きく真っ黒で口は人間の口だが小さく鋭い歯が何本も生えていて蛇のような舌をチロチロ動かせていた。


「しつこいねぇ……あんた、美しいねぇ……決めた、あんたをグチャグチャにして食べてあげるよ。そうすれば私はもっと綺麗になる」

人の言葉が話せるようだ。

「歪み人よ、その穢れ払い落とす。お覚悟を」

少女がナニカに向かって告げる。ナニカは歪み人と呼ぶ様だ。


「あんたが最近、私の同類を殺ってる奴か、私らの間では歪み狩りって呼ばれてるがその名前の通りだねぇ」


歪み人が異様に長い指を少女の方へ向ける。鋭い爪が少女に向かって伸びていく。

少女は刀の刃で受け流したまま歪み人との距離を詰める。

後、1歩の所で歪み人の口から無数の歯がつぶての様に吐き出される。

左側へ回避するがいくつか肩を掠めて着ていたジャケットが破れて、血が滲みだす。


少女が刀を下から上へ弧を描く様に振り上げる。爪で受け止めるが爪は全て切れて懐が空いた所に飛び込む。

今度は刀を振り下ろす。完全に捉えた少女は勝利を確信した……だが


「惜しかったねぇ、私をそこら辺の雑魚と一緒にしちゃあダメだよぉ」


〈ザシュッ 〉


歪み人の膝から長い針のような物が少女の腹を貫いた。


「今日は殺さない事にするよ。私は暫く人の中に隠れるから。あんたにもう一度チャンスをやろうじゃないか」


歪み人は夜の闇の中へ消えていった。

力が足りない。クソ、もっと力があれば全てを切り裂く……少女は意識を失った。


想いが強ければ強い程怨念化し抑えきれない衝動に駆られ人の姿を無くした時歪み人が産まれる。

その歪みの旋律を感じ取る力ディストーション・センスを持つ少女。これは歪み人を狩り呪われた運命を解き放とうとする少女の物語である。

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