第49話 その頃の姫花と椎名(ショート)①
◆
増田一行が「遠足」を楽しんでいる中、姫花と椎名は増田の
「姫花お嬢様。本日は学校も設立記念日でお休みですが、ご友人……
「んー」
姫花は何かを探しているのか増田のベット下や机の中を散策している。その為か話しかけてくる椎名の質問も曖昧に答える。
因みに姫花と椎名がいる場所は増田の寝室だったりする。
「……沙湖ちんはダメだよ。今日は他の用事があるんだってぇー。他のお友達もダメだったのー」
「左様ですか」
「そうなの。……もしかして、椎名お姉ちゃんは何かしたいことあった? 姫花いたらじゃま?」
何かを探すのを一旦止めた姫乃は上目遣いで近くにいる椎名に問う。
「! そ、そんなことはありません。ただご友人とも遊びに行くご様子はありませんし、絵本などを読まないで姫花お嬢様が何かを一心不乱に探しているご様子でしたので、一体どうしたのかと、思いまして……」
「んー、それなんだけど……」
姫花は何故絵本を読まないで増田の寝室を散策ているのか経緯を椎名に話す。
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「……なるほど。純一が以前まで読ませてくれていた「礼拝戦争」というマンガ雑誌の続刊を何故か読ませてくれない、と」
「そうなの。純一がいじわるして見せてくれないの!」
姫花の話を聞いた椎名は顎に手を当て「礼拝戦争」とやらのマンガ雑誌について考える。その間姫花は可愛らしくプリプリと怒る。
(……「礼拝戦争」、ね。名前は私も聞いたことがあるけど私は見たことはないわね。ただ何かしっくりと来ないのよねぇ、純一が溺愛している姫花お嬢様に見せないほどのものとは……裏に何かあるわね、コレは)
増田の不可解な行動を疑問に思っている椎名。そんな椎名の考えなど知らずに姫花は「続きが気になってるのにー、魔力供給が何か知りたいの」と呟いている。ただ姫花の話を聞いた椎名は何かを閃く。
(純一は続きを見せたくない=姫花お嬢様にはまだ早いナニかがある。姫花お嬢様から今出た「魔力供給」という話の続きを純一は読ませたくない、或いは見せたくない。ただ今の現状でははっきりと分からないので一度、私がこの目で確かめてから判断するわ。純一が隠す場所など把握してるから)
そう思った椎名は直ぐに行動に移す。
「そうですか。なら、私と一緒に純一が意地悪して見せてくれない「礼拝戦争」を探しましょう」
「やったー! 椎名お姉ちゃんが一緒に探してくれるならひゃくにんりき?だよ!」
椎名の参戦に両手を上げて喜ぶ姫花。
「ふふっ、任せてください」
「うん! でも、姫花がさっき探していた時は鍵が掛かっているところとかあるよ? そこを無理矢理開けたら……純一に怒られるかも……」
純一に見つかり怒られ、それも嫌われてしまったら大変と幼いながらに思う姫花は心配そうにする。
そんな姫花を見た椎名は笑みを浮かべた。
「大丈夫です。それに万が一でも純一は姫花お嬢様相手に怒らないでしょう。嫌ったりも絶対にしないとこの椎名が約束しましょう」
「……ほんと?」
「はい。純一は姫花お嬢様のことを本当に。本当に大切に思ってくださっているのですから」
椎名の口から増田が自分のことを「大切に思ってくれる」ということを聞いた姫花。そんな姫花は話を理解できたのか嬉しそうに笑う。
「そっか! 椎名お姉ちゃんがそう言うなら。それに椎名お姉ちゃんと純一はお友達だから隠し事なんてないもんね!!」
「はい、その通り……です。それに私のものは私のもの。純一のものは全て私のものですので純一がどうこう言える立場ではないのですよ」
「椎名お姉ちゃん、カッコいい!」
某ガキ大将の様な言葉を使う椎名。そんな椎名を見て喜ぶ姫花。
「では、探しましょう」
「おーーー!」
椎名の言葉に可愛らしい掛け声を上げる姫花。
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