用務員とマイフレンド

第32話 プロローグ





 俺の名前は増田純一(28歳)


 突然だが前回のあらすじだ。


 俺は元IT会社(ブラック)の会社員「増田純一」。現『ルサイヤの雫』と呼ばれるゲームの世界にいないはずの存在の子百合澤女子高の用務員「増田純一」だ。


 この時点で訳がわからないと思うがどうかついてきてくれ。


 幼馴染の様な腐れ縁の様な存在。この世には切ってもきれない存在のと二人三脚で頑張ってきた。


 ただ、無理な労働を強いるクソ会社のせいで死んだ。そこでハッキリとわかった。



    "労働はクソ"だと。



 ただ、死ぬ間際に願った。



 『幼女に囲まれたい人生だった』と。



 そんな俺は神の気まぐれか何かは知らないが意識を取り戻し目を開けた。すると目の前に突如として現れたオッパイに怒鳴られた。


 まったく、訳がわからないぜ。


 そんなこんながあり沢山出てくるオッパイ達に出会いどうにかして俺の容疑が晴れた。その後はかくかくしかじかで東堂家と言うオッパイの一族を助け婚姻をさせられそうになった。


 たくっ、モテる男は辛いぜ!!


 その婚姻とやらもどうにかして逃れた俺はで今後について考えていたらちっぱいが現れた。


 まったく、俺のことを全世界のお胸様はほっとけないようだなぁ!!





 とまぁ、馬鹿はほっといて。寮で休んでいた増田の元に『ルサイヤの雫』の主要キャラクター兼ヒロインの「一ノ瀬祈」が現れた。


 ベージュ柄のパジャマ姿、髪はぼさぼさの増田と子百合澤女子校の制服姿の一ノ瀬の両者が見つめあっている状態だった。




「あ、あの! 増田、純一さん!! コレ!!」


 増田が一ノ瀬のアクションを待っていると一ノ瀬は勇気を出してか両手で持っていたある物を増田に渡す様に両手を翳す。


「あ、あぁ、うん。……これは、ハンカチ?」


 一ノ瀬が自分に渡してきた物を目にして直ぐに出た感想が「ハンカチ」だった。それもよく見てみるとそのハンカチは自身が一ノ瀬に手渡した藍色のハンカチだった。


(……なるほど? ハンカチを届けに来てくれただけなのか? なら、そんな身構える必要はないか……)


 自分が思っていた様なではないと思った増田は自然にハンカチを受け取る事にした。


「あぁ、ありがとう。この頃色々とあってすっかりと忘れていたよ。……一ノ瀬さん?」


 一ノ瀬が差し出すハンカチを受け取った増田だったが一向に一ノ瀬がハンカチから手を離さない事に不信感を持つ。持つと共に嫌な予感もした。


「……増田さん。あの、貴方にお願いを頼みたい事があり、ます」


 一ノ瀬はなんとか口を開き言葉にすると増田に自分が伝えたい事を伝える。ただ、これで嫌な予感が的中してしまったことも決まった。


(こ、これ、知っているぞ。一ノ瀬ちゃんが友達作りをする為に手伝いとして本庄君に伝える言葉じゃないか。本来ならの話、だが。それにこれを俺が承諾しないと……)



 「一ノ瀬祈」がというなんだよなぁ。


 冷や汗を垂らす増田は表面上出さないように内心で思想するが考える時間も要らない。これは既に確定事項なのだから。なので増田が答えられる言葉は一つしかない。


「……君のお願いにもよるが、聞こう。俺に出来るかは聞いてから判断するよ」


 シナリオ通りにする事だった。


 自分のお願いを断らない増田の返事を聞いた一ノ瀬は強張らせていた表情を幾ばくか和らげる。だが決心を決めた様な表情は保ち増田に次の言葉を告げる。


「……はい。端的に話します。私に友達の作り方を教えてください。私と……私の友達作りを手伝ってください!!」


 一ノ瀬は増田のハンカチを握ったまま頭を全力で下げると増田に頼み込む。


「……そうか。わかった。お安い御用さ。俺は君の頼みに応えよう。こんな俺で良ければ。少しでも君の助けになるのなら」


 一ノ瀬が摑むハンカチの力が緩むのを感じた増田はハンカチを受け取りながら一ノ瀬の言葉を承諾する。


「あ、ありがとうございますぅぅ〜」


 増田に断られなかった事を理解した一ノ瀬は安心してしまったのかその場でへたり込む。


 そんな一ノ瀬の姿を見て「原作通りだな」と内心で思う。増田は今も流す冷や汗を落ち着かせるため受け取った自分のハンカチで冷や汗を拭うと苦笑いを浮かべる。




 これはぼっち少女が友達を得るための物語。勇気が出せなく人との接し方がわからない少女だが、人々に支えられ成長する物語。


 


 






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