四章 第十二話
*最終話です
如月が目を覚ましてから三日後。
如月は桜華の街の桜通りを歩いていた。。
今回は、去年と違って一人ではない。
桔梗に橘、クロも一緒だった。
この街は、去年如月が水珠と戦った街でもある。
去年、他の導き手たちと来れたらなと願ったが、その願いはかなわなかった。
四人の導き手が死んでしまったからだ。
だが、桔梗に橘、クロと一緒に来ることができた。
そのことが如月にはうれしかった。
「桜がすごいですね」
「満開だな」
桔梗と橘が感嘆の声を上げる。
クロも、三色団子を食べながら目を輝かせている。
「今年も圧巻だな」
如月が言った。
「あれから一年ですか、、、」
「そうだな、、」
しみじみとした様子で桔梗と橘が言った。
如月と水珠の戦いで、壊滅的な影響を受けた桜華の街。
しかし、今は去年と変わらないくらい人通りが盛んだった。
「一年でここまで元に戻るとは」
「伝手が全力で支援したからな」
「本当に万能ですね、、、伝手って」
橘が得意そうに言い、桔梗が驚いて言う。
「この場所から、二紋様との戦いが始まった」
「そうですね。ここで如月さんが二紋様と戦ったことで、他の二紋様も出てきましたし」
「私の火薬玉が役に立ったんだよな」
「一回しか使ってないけどな」
「一回だけでも使えたんだからいいだろ」
橘と如月は言い合いを始める。
「如月さんが意識を失う重体だと聞いて、私は驚きましたね」
「それは私も驚いた」
二人が言う。
「それくらい二紋様は強かった。水珠以外も、二紋様と戦った時はすべて重体だしな」
「そう言えばそうですね」
「言われてみると確かにな」
「まあ、一番ひどかったのは今回だがな。二か月も意識を失っていただけでなく、まだ包帯がとれていない」
「私はもう取れましたけどね」
「だが、紋様持ちが生まれなくなったというのはいい知らせだな」
橘の言うとおり、二紋様を全員倒してから紋様持ちは現れなくなった。
二紋様を倒した時点で、紋様が消えたかどうかは分からないが、紋様持ちは確認されていない。
それでも付喪神はいまだに現れている。
「紋様持ちが生まれなくなったのはいいですけど、付喪神はまだ現れますからね」
「人間がいる限り、付喪神は生まれ続けるだろ。東雲も手紙で言っていたしな」
如月が言った。
付喪神は、負の感情によって生まれる。
人間が原因で生まれる付喪神。
彼らを狩るのは、悪なのだろうか。
如月は立ち止まって考える。
だが、答えは出ない。
それでも、人間を守るためにこれからも戦おうと思った。
「如月さん、何してるんですか、行きますよ」
桔梗に呼ばれた。
「分かった」
笑顔で答え、歩き出す如月。
その足取りに、迷いなどなかった。
*『付喪戦記』をお読みいただきありがとうございました。
この話で完結です。
戦闘シーンを書くのが難しく、かなり考えました。
書きたいことは全部かけたので満足です。
ありがとうございました。
付喪戦記 @Koto9
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