四章 第十一話
*如月視点に戻ります
夜月と戦って二月が経った。
季節は春になっている。
如月はようやく目を覚ました。
「ここは、、、」
如月は、状況を確認しようとする。
(確か、、、夜月と戦って、京極の最期を看取って、、、意識を失ったのか)
そこへ、桔梗と橘、クロが入ってくる。
「如月さん、目、覚ましたんですね。二か月も目を覚まさなかったんですからね」
「よかった、お前が生きててくれて本当によかった」
桔梗が微笑み、橘が涙を流す。
桔梗はいまだに包帯を巻いている。
クロもコクコクとうなずいて二人に同意する。
そんな三人の様子を見て、如月はほほ笑んだ。
「そう言えば、付狩りの活動ってどうなるのでしょうか?」
ふと、桔梗が思いついたように言った。
「導き手も二人になってしまいましたし、名家の人は死んでしまいましたし、、、」
部屋の雰囲気が少し暗くなる。
「それについては、東雲から手紙があるぞ。半年ほど前に預かった」
橘が、懐から手紙を取り出す。
そして、読み上げ始めた。
「『この手紙は、私が死んだ時のために輝夜さんに預けておきます。二紋様を倒しきれたのでしょうか?もしそうだとしたらうれしいです。もし倒しきれていなくても、導き手の人なら大丈夫だと信じています。
天明さんと朱雀さんは、私が導き手になる前から導き手で、さまざまなことでお世話になりました。父から付狩りの統率を引き継いだ時も、反対せずに受け入れてくれました。炎楽さんと奏介さんが死んでしまったと聞いた時、私はかなり落ち込みましたが、それでも前を向いて歩んでいるお二人を見て、私も何とか前を向くことができました。お二人の存在がとても心強かったです。そして光里さん。光里さんは私より後に導き手になったのと、私より年下なのもあり、妹のように思っていました。導き手たちはとても明るい雰囲気で、皆さんのことがとても好きです。導き手ではないですが、輝夜さん。伝手として、私たちの支援ありがとうございました。一緒にお酒を飲むの、楽しかったですよ。
この手紙が破棄されることを願っていますが、もし読まれているならば、皆さんには私のことは気にせず、前を向いて生きてほしいと思います。さて、ここからは付狩りについてですが、二紋様を全員倒し、紋様持ちがいなくなっても付狩りは存続してほしいと思っています。付喪神は、人間が物を使い続ける限り現れると思うからです。統率は、残っている人たちに任せます。
最後に本当にありがとうです』」
読みながら橘は涙を流していた。
如月と桔梗も泣いている。
「付狩りは、俺らが統率する」
「そうですね。それが、東雲さんのお願いですから」
「前を向いて生きてほしい、、、か。炎楽と京極にも言われたな」
「そうなんですね。みんな、思うことは同じなんですね」
「いつまでも落ち込んではいられないということだな」
「はい」
東雲や炎楽、京極がそう言ったのだ。
前を向いて生きていこうと思った如月たちだった。
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