九、役立たずの神様
しとしと
今日は雨
いつもはなんだか心が躍るのに
今日は怖い
君がまた溢れてきそうだから
しとしと
今日は悲しい
いつもはうきうきしてるのに
今日は寂しい
君はもういないから
いつまでも引きずるな
そうだよ
命なんて星の数ほどあって
今この瞬間も生まれては消えている
そのひとつが消えただけ
自分でそう言ったのに
もうなにも食べてない
君の言う通り わたしは平和ボケしたみたいだ
外でずっと生きてきたのに
食べ物にはありつけない
どうやって生きていたのだっけ
誰にも頼らず生きてきたのに
心細く感じる
また あの頃みたいに
首輪がなくなったら 不安がやってきた
息苦しさはないけど この解放感が怖くてしょうがない
助けて
誰か助けて
少しでいい
でも求めたら
駄目なんだ
君が顔を出すから
ドロドロ溢れてくる
誰にも止められない
真っ黒なわたしをもっと真っ黒に
だったら蓋をしよう
臭い物には蓋をする
ほら 出てこれない
ドロドロドロ
あれ
わたしは思ったんだ
わたしは誰なのだろう
飼い主に媚びへつらうわたし
君は誰なのだろう
誰彼構わず牙を剥く君
雨が強くなってきた
道の葉っぱが流されていくよ
わたしの心も流してくれないかな
風が強くなってきた
真っ黒なわたしの体は濡れて吹かれて
嗚呼 もう埃みたいになってる
どこか知らないところまで飛んで行って
消えてしまいたい
こんな弱い心も 荒い心も 消し去ってよ
神様
君はいつもこんな小さな葛藤を見て 笑っているのかい
塵屑が一丁前に悩んでるぞって
誰が君なんかに頼るものか
わたしはわたしだ
わたしなんてなくても構わない
自分らしさなんて知るか
これがわたしだと思ったらそれがわたしだ
他人にとやかく言われる筋合いはない
なんて
もう疲れたよ
何日歩き続けたのかな
お店のゴミとかで食いつないできたけど
もう限界かな
子どもにもらったパンが懐かしいな
雨が気持ちいい
わたしにしては頑張った方かな
久資 君の夢には程遠いけど
綺麗な景色だよ
なんだか力が抜けてきた
眠いな
でも 寝たらもう起きられない気がするよ
もう起きなくていい
そっか
おやすみ
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