六、血みどろ烏
銃から弾が出てきてこんにちは
さあ さあ どこへ向かおう
風を切って誰よりも速く
目的地へ
ぐあ
騒ぐなや 耳吹っ飛んだだけやろが
アニキ チャカ弾くのはちょっと 外に聞こえます
黙っとけや ボケナス
久資の耳が欠けて真っ赤に
ぽたぽた ぽたぽた
止まらない
久資の顔は震えて真っ赤に
痛い 怖い 悔しい
匂いじゃ わからない
でも確かなことは一つ
久資は今日死ぬ
若頭 最期に漢見せてくださいよ
そしたら 脳天一発でブチ抜いてあげますさかい
なにをさせたいんじゃ
アホな真似してすんませんでした 言うて土下座せえや
んの外道が
久資の頭に銃口が ぐりぐりめり込む
いつ火を噴くのかな
弾は飛び出したくて うずうずしてる
もう助からないだろうね
助からない
絶対に
だったら わたしは自由になるのかな
息苦しい生活ともオサラバだよ
久資 君はどうしてわたしを拾ったんだい
家族のつもりかい
それとも こんなときに助けてくれる番犬用にかな
悪いね わたしは自分のためにしか戦わない
君たちもそうでしょう
なんや このクソ犬 離れんかい
あれ
わたしはなにをして
いや 今はいいや
久資 もうひと頑張りだよ
骨までイッとるぞ おい
アニキ どうしよ
ナメんなやボケども
久資の灰皿のストレート
風を切って玄関の舎弟に命中
顔は腫れ上がって額がパックリ
一発KO
次はわたしの番だ
この手についた五本のソーセージを食い千切ってやる
あの頃を思い出す
いい加減離れろや
わあ やっぱり人間には敵わない
ぶち殺すぞ われ
久資と烏人間の取っ組み合い
真っ黒なスーツは真っ赤に
真っ白なシャツは真っ赤に
殴り 殴られ 血しぶきが上がる
パンッパンッ
途端に静かになった
久資が シャツをどす黒く滲ませて崩れる
嗚呼 久資
わたしは
ジジイが調子乗んなや 手間取らせやが
牙が柔らかい首の肉を貫いてゴリゴリ 骨にヒビを入れる
バタバタバタバタ
無駄だよ 烏さん
暴れても暴れても血が噴き出すだけ
声も出ない
君はやりすぎたんだよ
さあ もうオシマイだよ
ジ ジン
久資 そんな恰好は似合わないよ
立って ほら早く
自由になるんでしょ
ジン
なにをするんだい久資
わたしから首輪を外して
お前の 居場所 帰れ
儂に 見せて く
久資は馬鹿だね
本当に馬鹿だよ
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