第3話 ほんとにあばよ

 田原さんはもの凄い勢いで、地獄のように真っ赤に染まった超激辛フィッシュバーガーを両手でつかみ、ばくばくと平らげていく。人間の許容量を超えたあまりの辛さに全身から滝のような汗が流れていく。


「うおりゃああ! ごふうう! ごほごほ! うおおおお!」


 脳天を痺れさせる高濃度の香辛料の刺激に、トレードマークである白髪がまっきんきんに逆立つ。まさに怒髪冠を衝く状態。額の血管をびくびく肥大させて、ものすごい量の汗を全身に浴びながら、一心不乱に超激辛フィッシュバーガーと格闘。その姿は、ある種の神々しさもあった。


「好奇心だけはいくつになっても止められねーよ! 世界中がそうなりゃ、こんな平和なバトルだらけになるぜ!」


 決め台詞とともに、こんもりと盛られた超激辛フィッシュバーガーを一気に平らげた。


 すごい……。


 まさに破天荒な人生。


 わたしも――自分を信じて頑張ろう。


 そう、心から、思えた。



 当然、優勝。


 会場の熱気はピークを迎えて、大歓声が巻き起こる。


 田原さんはあまりに体が火照っていたのか、ジャケットとYシャツ、黒いタンクトップを脱ぎ捨てた。激戦後の姿はもちろん筋肉むきむき。真っ赤に染まったボディが、お腹のシックスパックの凹凸をよりクリアにさせる。

 その肉体美を見せつけられて、再び下腹部が満腹中枢を刺激する。


「いいかい、取材でもフードバトルでも二次創作でも、やるからにはとことんやらなきゃだめ。これだよ、コレ」


 親指を突き立て、わたしを見つめる。


「おじょーちゃん、もう俺が言い――」


「小林勤務さんにメッセージですよね?」


 もう、最後のくだりは覚えちゃった。


「おうっ。『田原総一朗』って名前使うならタブーはなし。とことんやってくれてありがとよ。しかも4作も投稿って。コンテストも終わってるのに、どんだけ俺が好きなんだよ。これ、投稿しても受賞しないし、俺との面談もないんだぞ」


「あ、あのっ!」


「ん? なんだいカクエちゃん」


「わたし、わかったんです。田原さんが好きな人の、って」


「ほう……。ヒントなしで、よくわかったね」


「ちょっといいですか」


 どれどれと腕を組む田原さんの耳もとにゆっくりと顔を近づけて――


 そのまま――




 ちゅ。




「お、おい、カクエちゃん。なんだい、そりゃあ」


「伏字の名前をここで発表するわけないじゃないですか。実名はNGっていうルールは守らないとだめですからね。タブーとルールの違いぐらい、わたしでもわかりますから」


「おいおい、最後にハッピーエンドとは、勤務らしいぜ」


「ですよねっ」


「カクヨムのみんな、あばよ!」




 ほんとのほんとに劇終




~田原総一朗さんの裏設定一覧~

★戦闘力……2臆とんで53万(参考:Fリーザ53万)

★筋肉……お腹はシックスパック。腕立て伏せは1分間に1000回。懸垂は10日間寝ずに可能。

★跳躍力……成層圏まで飛べる。

★速さ……光の次に速く動ける(速さの単位1位:光年。2位:総年)

★口ぐせ……あばよ。

★肉体……宇宙空間に生身の身体で3日間生存可能

★食欲……1時間に回転寿司10は余裕(皿ではなく、10店分の寿司)

★信条……平和を愛するけど、エスプリ大好き


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

田原総一朗VSフードバトル。大食い、激辛、なんでもござれ。超絶胃袋バトルの開幕!~PART4~ 小林勤務 @kobayashikinmu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ