episode.happy
「ちょ、おふ、おふろっ」
「じゃあ、ご一緒しましょうか」
ひょいっと体を持ち上げて、脱衣所に向かう。
「え、いつの間に湯船…?」
「んー、マジシャン?」
「え、マジシャン?」
「冗談だよ」
てんぱって、なんでものみこんでしまう。ユーワって本当はこういうこなんだな、と心がくすぐったくなった。
「ひゃっ、むかないで!」
「皮なの?くだもの?」
「茶化さないで、わあっ」
「はい、入湯〜」
楽しくなって、子どもみたいにはしゃぐ。服を脱がして、ぱしゃんと浸かった。じわじわと冷えた体に温もりがひろがる。
「ねぇ、ユーワ…この匂いなに?」
「匂い?」
「なんか、ユーワ生クリームみたいな匂いがする」
「みたい、じゃなくて生クリームなんじゃないかな?あとは砂糖とか?お菓子屋さんだから」
「…じゃあ、食べてしまわないと」
「ちょっ、」
ばしゃ、と湯がはねた。
「あがってからね!」
泡が膨らむ湯船、背中を俺に預けていたユーワがふいに、こっちに振り向いた。
「そんな顔しないでよ、もう」
「そんな顔って?」
「あー、も!…しょうがない」
豊かな膨らみが、顔をおおう。
「おいで、狼さん。」
反響した声は、理性を壊すには十分すぎるほどの狂おしい官能的な音だった。
EP. happy end
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