第6話 3月16日のトイレ事情
カクヨムに小説を掲載し始めてから2日が経ち、3月16日。この日も100PVを越えていた。
自分の部屋に閉じこもり、椅子に座ってパソコンと向き合う。順調に小説を書いていると、私の作品を読んでくれた小林からLINEがきた。
「面白かったわ!! 毎回終わり方がいいな! この、男の子の心情を行動や雨に濡れている形で表しているのが好き!」
小林はたくさん褒めてくれた。彼女のおかげで自作小説を投稿するきっかけになったから、改めて感謝しなければいけない。
次の投稿に向けてパソコンと向き合っていたのだけど、ある違和感に指をとめた。
地震だ。
どうせいつものように、少し揺れて終わりかと思っていた。でも、何分か大きな揺れが続いた。机の上に適当に片していた参考書が落ちてきそうになったから軽く手で支えた後、急いで部屋の窓を開けて安静にしていた。
「地震!!」1階から、姉のうざったい声が聞こえる。
怖い。
津波がくるのかな、久しぶりにこんな揺れてる。
揺れのせいで酔ってしまい、気持ち悪くなってきた。
その時、小林からLINEがくる。
「南波! 大丈夫!?」
すぐに返した。
「大丈夫! 余震に酔って吐き気がするくらい。小林は大丈夫!?」
「良かったあああああ!」
小林コンタクトがとれて安心していると、思いもよらぬ返信がきた。
「私、”華麗なるうん子タイム”してたのに、地震に邪魔されたよ! めっちゃでかいうん子きて、体が震えてるんかと思ったら地震だった」
その返信に一人で大爆笑した。腹がよじれるほど笑った。流石に家の人たちに聞こえないように声を殺して笑っていたんだけど、そのせいで表情筋が痛くなりつらかった。
私が住んでいる東京都よりも大きな地震に不安になっている人がいるかもしれないのに、私は笑ってしまっていたから申し訳ない。でも、怖い気持ちはもうなくなっていた。
これも小林のおかげだ。
私はこの時思い出した。1年前__高校3年生の時に、友達がいなくたって生きていけると思ったことがあった時のことを。私以外にも、そういうことを考えてしまう人はこの世の中にいるはずだ。だって虐めが存在するくらいだもん。他人を信用できなくて、つらくて怯えている人だっている。そんな人たちに、友達はいいものだということを教えてあげたい。
私は決めた。今書いている小説が書き終わったら、小林との話を小説に書くと。
「これ小説に書こうかな。実話で」小林にそうメッセージを送ると、予想通り驚いていた。でも否定はされなかった。
「よし! まずは目標たてないと」
この3月中に、今の小説を完結させる!!
小林のLINEで元気づけられた。その日の夜は小林の「華麗なるうん子話」のおかげで安心して眠ることができた。
友達ってすごいなぁ、本当に。
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