第3話 サーモンの美味しい食べ方
「まずガリを1つとって、サーモンの上に乗せるの」説明とあわせて手を動かす。
「ほうほう」小林は私の手元をじっくり眺めている。
「小林もやって、やって」
「ガリをのせる」
「うん。そしたら醤油たらして。お好みでワサビをのせる」
私はワサビをのせるのが好きだけど、まだ1つめだからワサビをのせないで、ガリをのせて醤油をかけたサーモンを口に入れた。
「んー! 美味い。小林、どう?」
自慢気に紹介しているけど、実はYouTubeで寿司のasmrを聞いている時に、食べていた人がおすすめしていたから真似しているだけだ。でも本当に美味しいから全国の人に教えてあげたい。ガリはあまり好きではなかったけど、サーモンと一緒に食べると甘く感じるから癖になるんだよね。
「なんかサーモンとガリのマリアージュを感じた、かな? ほらさ、メロンとサーモンは意外とあうみたいな!?」
こりゃまた、独特な言い回しをしてきたな。なんとなく独特な表現をすると思っていたけど、いつも私の想像を超えることを言ってくる。私は和元の考えを攻略しているつもりだったけど、やっぱりそんなことないかもしれない。
「マリアージュ」はイタリア語で、結婚とか、組み合せとかを意味する。メロンとサーモンがあうのかはわからないけど、とりあえずこの組み合わせは美味しいってことを言いたいんだろう。
それにしても、よくそんな独特な言葉がでてくる。どこから学んできてるんだろう。
「どこから覚えてくるのよ。マリアージュとか」
「なんか、”イタリアーノみたいで良いではないの~アモーレー”みたいな感じで覚えたやつだよ!」
どんな感じやねん。(爆笑)
話題を変えて、小林が大学で勉強してる内容について話してみた。
「一般会社員、目指してるんだよね。順調?」
「んんん、順調も何もない気がするけどなぁぁ」
それね。本当だよね。内容が薄すぎた。
「そういや絵描くの凄い上手だったよね~」
「んー。あ、実は、Twitterでイラストあげててさぁ」
小林からTwitterを見せてもらった。けっこうファンがついていて、ツイートしているイラストを見せてもらったけどプロ並みに上手だった。
少し上から目線かもしれないけど、小林はもともと才能があると思っていた。イラストを描くことが本当に上手で、中学の時なんかは美術大学に行くのかとばかり思っていた。
「そっか」
自分なりに行動してるんだ。
止まっているのは私だけかもしれない。
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