池袋爆音夢想家 (限定公開)
塚田誠二
1
二〇二一年秋、池袋――。
サンシャイン60通りを歩いていると、いつも人の多さにうんざりしてしまう。かわせどもかわせども、人にぶつかりそうになる。これじゃあ癒しにならないじゃないか。この街には常に人が押し寄せ、人が溢れ出してくるようだ。今日も中高生から中年の夫婦まで、イベントもないというのに、人がうねりをなしている。地方では考えられない。
池袋を一言で言い表すと繁華街。風俗、居酒屋、パチンコ、オタクの街。メイド喫茶があり、休みの日にはサンシャイン60通りをコスプレして髪から目までカラフルに彩った人たちが歩いている。
久世はこの池袋という街に来て四年目だ。だんだんとこの人の多さも、すれ違う人に舌打ちをされるのにも慣れてきた。そしてここが繁華街で、犯罪が多い街であるのも身体に染み付いてきた。しかし、早朝どの通りも生ごみの匂いで吐き気がする癖は、相変わらずだったが。久世はこのように自分の気持ちを見失いそうになる時、俺は仕事をするためにこの街にやって来たのだ、この街を守るのが仕事なのだと思うことで気持ちを保ってきた。
池袋爆音夢想家 (限定公開) 塚田誠二 @Seiji_Tsukada
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。池袋爆音夢想家 (限定公開)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます