52 6月10日(金) 紙おむつを考える

 お名前を出すことを許していただいたので、ここに書きますが・・僕の大好きな作家のお一人に@88chama様がおられます。


 先日、@88chama様が『ローバの充日』という連載中の素敵なエッセイ集の中で、紙おむつのことを書いていらっしゃいました。


 お義母様に紙おむつをはいていただくのに苦労されるお話で・・その顛末をここに書くのはルール違反なので書きませんが、お話を拝読して、いろいろと考えてしまいました。とっても素敵なお話なので、ぜひ皆様ご一読ください。


 『ローバの充日 第3話 私をリングに連れてかないで!』ですよ。URLを最後に載せますね。


 で、ここで、いつもの口調に戻るのだが・・紙おむつについて@88chama様の素敵なエッセイを拝読して、僕もいろいろと思うところがあったのだ。

 

 昨日のこの日記で駄作『白血病になっちゃいました』のことを書いた。実は、その白血病で入院していたときに、僕は右ひざの半月板を痛めてしまい、1カ月ほど歩けなくなってしまったのだ。正直、このときは白血病よりも半月板損傷の方が大変だった。


 特にトイレが大変だった。一昨日、昨日とこの日記で女子トイレの話をして、今日もトイレの話で恐縮なのだが、まあ、アホバカ作家が書く話なので笑って許してやってください。


 このとき、右ひざの半月板を損傷しているので、僕は右足を全く動かすことができなかった。少しでも動かすと、ひざにとんでもない激痛が走って、のた打ち回るといった状況ありさまだったのだ。そこで、僕は病院の松葉づえを借りた。松葉づえで右足に力が掛からないようにして、病室の中を移動したのだ。


 さて、僕の病室は特殊なもので、トイレや浴室も病室内に備え付けられていた。トイレはフタのない洋式便器で浴室の中に備え付けられていた。トイレに行くにはベッドから数歩移動しなければならない。その数歩を松葉づえで移動した。


 トイレでは、右足を曲げることができないので、右足を伸ばしたままで便器に座って用を足したのだ。これがきつかった。


 不自然な姿勢なので、どうしても右足に力が入ってしまう。そうすると、激痛が走るのだ。このため、毎回、激痛に苦しみながら、額に脂汗を浮かべて用を足したのだ。本当に大変だった。まさに地獄の苦しみだった。そのへんのことは駄作にも書いたので、よろしければ読んでみてください(『白血病になっちゃいました』 第9-12話  歩けなくなっちゃった)。


 こうして、毎日毎日、僕はトイレで激痛に悩まされたのだ。そのうち、トイレで用を足すのが怖くなってしまった。今日は、トイレでどのようにして用を足そうかと毎日毎日悩んでいたといっても過言ではない状況だったのだ。

 

 そのとき、紙おむつが僕の頭に浮かんだのだ。入院していると紙おむつはしょっちゅう眼にした。お年寄りの方が入院している病室を、看護師さんが紙おむつを持って頻繁に出入りするからだ。

 

 僕は紙おむつをしてもらったら、トイレが本当に楽になるんじゃないかなって思った。紙おむつだったら、ベッドで寝ている姿勢で排便をして、寝たままでおむつを替えてもらえるのだ。


 若い女性の看護師さんに、排便の後でお尻を拭いてもらったり、おむつを取り替えてもらうのは、なんとも恥ずかしかったが・・毎回、トイレで激痛に襲われるという地獄の苦しみのことを思うと、背に腹は代えられなかった。とにかく、紙おむつをしてもらったら、ベッドに寝たままでいいのだ。右ひざは伸ばしたままなので、激痛が走ることはない。こんなに素晴らしいことはないと思った。


 ここは病院だ。紙おむつはいくらでもある。僕が看護師さんに頼んだら、看護師さんがすぐに紙おむつを持ってきてくれて、たちまち僕のお尻に当ててくれるだろう。そうすると、地獄のトイレの苦しみから解放されるのだ。


 そう思ったのだが、なかなか看護師さんに言い出せなかった。『紙おむつはご高齢の老人の方がするもの』というイメージがあって、そのために看護師さんに言い出す勇気が出なかったのだ。


 さて、『白血病になっちゃいました』にも少し書いたが、半月板を損傷して少し経ったときに、若い女性の看護師さんが病室に来て、「私も学生時代に半月板損傷で歩けなくなったんですよ」と僕を励ましてくれたことがあった。


 そのとき、僕は看護師さんに「半月板損傷のときにトイレはどうされましたか?」って聞こうと思った。その話の中から・・トイレは大変だという話になって・・看護師さんの方から「では、紙おむつを当てましょうか?」と言ってくれるのを僕は期待したのだ。自分から言い出せなくても、、僕は即座に「僕に紙おむつをしてください」って言えると思ったのだ。だから、看護師さんの口から紙おむつのことを言い出して欲しかったのだ。


 なんとも微妙な心理だった・・


 でも若い女性の看護師さんに「トイレをどうしていましたか」なんて、なまなましいことは結局聞けなかった。こうして、紙おむつの話が何もできないまま、その看護師さんはナースステーションに戻っていったのだ。


 半月板損傷がある程度治って、僕がトイレで悩まなくなるので、1カ月ぐらいかかった。


 その間、僕は何度も看護師さんに「僕に紙おむつをしてください」と言おうとしたのだ。だけど、どうしてもその勇気が出なかった。


 そして、さっき看護師さんに対して思ったように、誰かが僕に「紙おむつをしましょうか?」と言ってくれるのをひたすら待っていたのだが・・結局、誰も言ってくれなかった。誰かが「紙おむつをしましょうか?」と一言でいいので言ってくれたら、僕は間違いなく即座に「僕に紙おむつをしてください」って言えたのだ。


 つまり、僕は半月板損傷が治るまで紙おむつのことを言い出せなかったし、誰も僕に言ってくれなかったというわけなのだ。


 今思うと・・勇気を出して、看護師さんに「僕に紙おむつをしてください」って言えばよかったと思う。その勇気がなかったために、僕は本当にトイレで地獄の時間を過ごすことになってしまったのだ。


 今日、冒頭で述べた@88chama様の作品を拝読していて、そんなことを思い出した。


 それで、僕は思うのだ。


 紙おむつをするかしないかっていう境界にいる人に、誰かが「紙おむつをしましょう」って言ってあげることって、すごく大切だなあって。。。


 @88chama様はある工夫をして、お義母様に紙おむつを勧めるのだ。だから、僕は@88chama様の工夫に感銘を受けたのだ。


 ここでまた言葉遣いが変わります。


 介護の問題って難しいですね。介護する方もされる方も、お互い気を遣うような部分があると思います。触れてはいけないような、だけど、そこに触れないといけないといった微妙な部分が・・・。紙おむつがまさにそういう部分だと思うのです。


 極楽とんぼの僕の経験など何の意味も持ちませんが・・こんな話でも、わずかでも皆様のお役に立つことがあれば、すごくうれしいです。


 @88chama様の『ローバの充日 第3話 私をリングに連れてかないで!』のURLは以下です。ぜひ、読んでみてくださいね。

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555147818343/episodes/16817139555335915609

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