第5話 歪なパーティー

 俺達は少しパーティーとしては歪らしい、二人しかいないパーティーでなおかつ二つもランクが違うということは殆ど無いと聞かされた。


 それでもまぁ俺達は二人しかいないので仕方がない、追々仲間を見つけていけばいいという方向で話はまとまっている。


「春、今日の依頼は何にする?」


「う〜ん何があるかなぁ?」


 俺達はいつも通り依頼板から依頼を探す。

 CランクとEランクの混合パーティーとしてはコボルトあたりが妥当なのだろう。


「これとかどうかなぁ?少し強いけど結構報酬高いよ!」

 そう言いながら春が持って来たのはオークの討伐依頼。

「いやぁ、これは少し荷が重いんじゃあ……」


「でも一体討伐すれば良いから大丈夫じゃない?」

 春は少し楽観的がすぎるんじゃないだろうか…心配になってきた。


「う〜ん…」

 俺が悩んでいると後ろから声をかけられる。

「やあ宗義、春ちゃん、それを受けるのかい?」


「いや、春は受けたいらしいけど…俺はまだ速いかなって思ってる」

「炎我もやめとくように言ってよ」


 俺からの懇願に炎我は少しも考えるような動作を見せずさらりと言う。

「別に受けても良いと思うけどね、君らなら大丈夫でしょ」


「ほら!炎我さんもそう言ってるし受けようよ!宗くん!」

 春は水を得た魚のように生き生きとし始め、依頼を受けようと依頼書を俺に持たせる。

「じゃ!速く受付いこ?」

 春がここまで言うなら…そう思い俺はこの依頼を受けることにした。






 が、今はそれをとても後悔している。

「おい春!もっとこっち寄れ!!」


「う、うん」

 俺達はオークを討伐しに来たはずだ、それなの何故かゴーレムと戦うことになってしまった。

 まずはこうなった経緯を詳しく説明しよう。







「ねぇねぇ、宗くん宗くん」


「ん?」


「ゴブリン多くない?」

 春の言う通りここに来るまでにゴブリンと何度も戦った。

 これは恐らく異常なことだろう。

 いかに繁殖力の高いゴブリンだとしても、群れとして存在しているわけでもないのにここまでの数と会うのは滅多に無いことだ。

 なぜかはわからないが嫌な予感がする…。


「一応気をつけながら行こうか」


「うん!」


 俺達はオークを探してどんどんと森の奥に入っていく。

 奥に行くに連れてゴブリンと会うことが少なくなった。


 もしかしたらゴブリンは何か強いモンスターに追われて森の浅い場所に出てきていたのだろうか。

 そんな考えが脳裏によぎった瞬間、”ぶおおぉぉぉぉおぉぉおおおぉぉ”というオーク特有の鈍いこもった叫び声が聞こえた。


「この先に居るけど…これは何かと交戦してる感じかな?」


「そうっぽいね」

 俺達はそれ以上の会話はなく、共にコクリと頷いただけでそれぞれ動き始める。

 春は俺の少し後ろを走りながら光魔法の準備を始める。


 そして、

「スター」

 色のない”何か”を飛ばし、

「インパクト」

 色のない”何か”はオークの目の前で激しい光を放ち始める。


 するとオーク達は急に光が目に入ったことにより視覚を奪われ、そのことに戸惑いを隠せずにいる。

 それに合わせ俺は前に飛び出る。

「広範囲ならこれかな、水煙」

 炎我に使ったものと同様に、辺り一帯に水の霧を出現させ、その水の粒がオークの体に触れた瞬間。



 爆ぜた。

「木も倒しちゃうけど…これはしょうがないよね」

 先程の攻撃だけでほとんどのオークが倒れる。

 残っているのはボロボロになった個体だけ。

 だが爆発の煙にはオークとは違う、とても大きな影が写っていた。


「何あれ…オークにしてはでかすぎない?」

 煙が晴れるとその正体がわかった。

 ゴーレムだった。

「逃げよう!」

 そう言ったときにはもう遅かった、ゴーレムがものすごいスピードで飛びかかってくる。

「そのデカさのどこにそんな機動力が!?」

 剣を使い何とかいなす。


 が、いなすために使った剣にはひびが入っている。

 手は痺れ、うまく握ることもできない。






 そして今に至るというわけだ。

 さて、どうするか……。

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得意なものがない 〜器用貧乏を才能の高さで乗り越える!!〜 真堂 赤城 @akagi33229

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