模擬戦

Side 加藤 佳一


(なるほど、こいつは軽い)


 09式パワーローダーを身に纏ってそう思った。

 SAー5はともかく、SSー15に比べると、さすが後の年代のパワーローダーだけあって動作がより軽く感じる。


 現在、ミハエルの部隊と訓練している。

 まあペイント弾とかを使った模擬戦や、近接戦闘訓練とかもやってる。


 やはりと言うかみんな真剣に取り組んでる。


 それも自分と同じぐらいの年齢の子達がだ。

 これを見ると平和の学生の無秩序な団体行動が馬鹿の集団のように思えてしまう。


(考えるのはよそう。生きてきた環境が違いすぎる)


 気持ちを切り替えて訓練に集中する。



 Side マヤ


 私はナナと一緒に佳一の訓練の見学をしていた。


「大丈夫かな佳一?」


「ああ。私と出会う前ならともかく佳一も成長してるからな」


 ナナは不安がってるが大丈夫だろう。


 初めてパワーローダーを身に纏った時からそうだったが佳一は異常だ。


 そこからコロッセウムを経て、そして先日の激戦を経てまだまだ成長しているように思う。


 天才。


 そんな言葉を信じてしまうほどの奴だ。


 加藤 佳一と言う男は。



 Side ライトニング隊 隊長ミハエル


(分かっていたつもりだったがこれは想像以上だ!)


 荒削りな部分もあって、感覚的に動いている部分もある。

 それでも複数人相手に互角以上に戦っていた。

 

 加藤 佳一は『自分もまだまだだな』とか言っていたがとんでもない。


 即戦力として欲しいぐらいだ。


(だからと言ってやられっぱなしで甘んじるつもりはないけどね!)


 そう言ってミハエルは自分が身に纏う09式を盾を構えながら相手にぶつけるようにブーストを噴かして前進させた。 

 


 Side 加藤 佳一


 模擬戦はまあ手応えはありかなって感じで終わった。


 色々と勉強になったからな。


 そうして模擬戦を終えて一緒に食事かなと言うところで話が回ってきた。


 なんでもウォーバイソンとフロンティアが動きを見せようだ。


 場所はここから西。


 その場所は以前、フロンティアのリタに教えてもらった場所、


 無人の軍事基地。


 そこにウォーバイソンとフロンティアが部隊を差し向けたようだ。


 俺は依頼と言う形でライトニング隊と一緒にその場所へ偵察することになった。


 だが問題がある。


 空の移動なので、搭載スペースなどの都合上マヤの戦車は持っていけない。


「分かったよ。留守番するよ」


「いいのかマヤ?」


 俺がそう疑問をなげかけるが――


「事態が事態だからな――ナナ、頼んだぞ?」


 ナナは「うん」と返事をした。


 マヤが快諾してくれた。

 本当は一緒に行きたかったと思うがそれは口に出さないでおいた。

 それを言うとマヤのプライドを傷つけることになるからだ。


 だがそれよりも――


(事態が動き出したか・・・・・・)


 あのフロンティアの女性の思い通りになるようでイヤな気分ではあるがそうも言ってられない予感がした。

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