王奔の失政から始まった民衆反乱、赤眉の乱。
新政権を追った後に、実は劉氏の皇帝が擁立されたことはあまり知られていない。
白羽の矢が立ったのは、牛の世話人でしかなかった少年、劉盆子。
一本の籤によって望まずして皇帝として選ばれた彼はやがて、光武帝劉秀にその政権を打倒され、命は助けられたもののやがて失明した。
これはその後の余話。
皇帝としてついに何もなしえることのできなかったかつての少年は、最後に何を成せたのか。
話自体はオリジナルのショートストーリーですが、そこに至るまでの事情を知っていると、味わい深い作品となるでしょう。
そうでなくても、光武帝の華々しい王業の裏側にこういう若者の波乱の人生もまた存在していたことが知れる、新鮮味があります。
いずれにしても、この悲劇の少年皇帝に、救いがあって欲しいという願いもまた込められた良短編だと思います。