第34話 友達とは何をすればいいのだ?
「えっと……【
俺は
「【
信仰が強かったりする者に
『アイス』を食べ終わったのか、
「
その分、厄介事は別の者が引き受けるのじゃが――と答えた。
それって、厄介事が『俺に回ってきている』という意味だろうか?
「そやつの場合は――【神】に育てられた――という所じゃな」
そう言って朔姫は
そして、『アイス』のカップを捨てに台所へと向かった。
「さて、次は
と楽しそうに考えているようだ。一方、
「そうなの?」
俺は
彼女はコクリと
「わたしの母親だった……」
と教えてくれた。
(『だった』か……)
過去形である事に、俺と神月さんは視線を合わせる。
詳しく
そんな俺と神月さんの雰囲気を
「たまにある事らしいぞ――育てる事の出来ない赤子を【神】の
困ったモノじゃ――と朔姫は
「物好きな【神】が育てる事があるらしいのう……」
と言うと俺の隣に座った。
あまり関係者の前で『物好き』と言うのは良くないと思う。
けれど、朔姫自身も【神】であるため、思う所があるようだ。
「人は自分と異なる存在を拒絶するモノじゃ」
と続けた。その事に関しては、俺も神月さんも当事者だ。
だから
【神】に育てられた人間は、人の世界で生きるのは難しい。
俺や神月さんも、そちら側の人間だ。
もしかして、朔姫が吹常さんを
吹常さんは育ての親である【神】の存在に縛られている。俺達と一緒に暮らす事で――彼女の人間性を取り戻させよう――そんな意図があるのかも知れない。
(やれやれ、大人の
気付いてしまった以上、俺は彼女を受け入れるしかない。
「つまり【
俺は
「まぁ、この場合はそうじゃな……」
と朔姫。興味のない
しかし、俺達が出す答えを誘導してくれているのだろう。
結論を出すにはまだ早いけれど、
そう考えると『理事長も協力している』と思っていた方がいいだろう。
ただ、朔姫には『寝耳に水』の話だったのかも知れない。
自分を
(これは後で、俺が
「吹常さんの母親は、どういう【人】だったの?」
俺が質問すると、
「母上は優しい、美人だ」
と彼女は答えてくれる。
「そうなんだ、素敵な【人】なんだね」
そんな俺の返しに――ああ――吹常さんは嬉しそうに答えた。
同時に彼女のスマホが鳴る。
連絡が入ったようだ。今日はここまで――という事だろう。
どの道、俺には買い物の用事がある。案の定、
「戻る時間だ」
と吹常さん。その表情は残念そうに見える。
最初は緊張していたが、同世代と話しが出来て楽しかったのだろう。
俺は――途中まで送るよ――と言って、一緒に寮を出た。
坂道を下りながら、
「お前は変わっているな」
と吹常さん。その言葉、そっくりそのまま返したい所だ。
「そうかな?」
俺が答えると、
「ああ、大抵の連中は、わたしの事を
でも、お前は違った――そう言って、吹常さんは俺の前に出た。
そして、クルリと反転すると足を止めると、
「お前はいい奴だな」
そう言って、
無邪気なその笑顔に、不覚にも俺は
だからだろうか、
「吹常さんは綺麗だね」
見た目もだけど、心も――つい、そんな事を言ってしまった。
彼女は一瞬、目を大きく見開くと、
「決めたぞ!」
と一言。
「お前をわたしの『友達』にする」
そんな事を言い出した。俺は苦笑すると、
「もう友達のつもりだったよ」
と告げる。彼女は再び、目を見開くと、
「そうなのか⁉」
「多分、神月さんもね……」
俺の
そして、彼女の手を取る。
「あ、ありがとう……」
恥ずかしかったのだろうか?
吹常さんは顔を真っ赤にした。
「ちゃんと前を向いてあるかないと危ないよ」
俺が注意すると、
「分かった……その、
と吹常さん。俺は一瞬、戸惑うと、
「だ、ダメだったか?」
彼女は不安そうな表情をした。
「ごめん……予想していなかったから、ちょっと
謝りつつ、俺が説明すると、
「そ、そうか……では、問題ないのだな!」
嬉しそうにする。最初に会った時と違って、
俺は素直に感心する。
ふんふふん♪――と楽しそうする吹常さん。
「で? 友達とは
と突然、
(正直、苦手な質問だな……)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます