第21話 ハゲちゃったじゃない……
「私の
と
けれど、俺は『恐怖』に
そのため、知らず知らずの内に危険な事をしていたのかも知れない。
――どうするのが正解だったのだろうか?
そんな俺の考えを彼女は表情から察したようだ。
「だって……私の
そう言った後――そんなの嫌です――と最後に
どうやら、彼女の
正解は分からないけれど、俺が危険な目に
「その辺にしておくのじゃ……」
と朔姫。
「ほれ、料理を運ぶのを手伝ってくれんか?」
そう言って、皿に料理を盛り付けて行く。
神月さんは溜息を
「そうね……」
と言って立ち上がった。
その様子から納得はしていないようだ。
ただ『怒っている』というよりは
「じゃ、テーブルを
俺も立ち上がり、準備を手伝う。
テーブルを拭いて、
「神月さんの
俺は料理を並べてくれている彼女に言った。
神月さんの動きが止まる。
「俺は神月さん……
彼女が不幸だと、決めつけていた。
だから――
結果、俺の行動は彼女を追い詰める事になってしまった。
自分の
「ごめん、俺には神月さんが必要みたいだ……」
これからも仲良くしてくれる?――その問いに、
「いえ、私もつい……感情的になってしまいました」
そういって、彼女は
お互いがお互いの事を思い、
「次からは、もう少し考えて行動するよ……」
どうやら俺は自分一人で
「あー、そろそろ食事にしたいのじゃが……」
いいかのう?――コホンッ、と朔姫が
自分でも無意識の内に神月さんの手を取り、握っていたようだ。
二人して見詰め合っていた事に気が付く。
俺達は慌てて、手を離した。
「まったく、お
朔姫は溜息を
◇ ◇ ◇
夕食の後、俺は先にシャワーを使わせて
着替えを終えると、スマホを確認する。
菊花に『会って話がしたい』と連絡していたのだ。
分かりました――とメッセージが入っていた。
場所は公園を指定している。
(明日でも良かったんだけどな……)
神月さんと朔姫に相談すると『付いて来る』と言い出した。
【呪い】の件もあるので、菊花を警戒しているのだろうか?
「なぁに、隠れておるから安心するのじゃ」
と朔姫。本当だろうか?
少なくとも『大人しくしてくれる』とは約束してくれないようだ。
――
と
どうせ『断っても付いて来る』と思い、俺は
二人とも部屋着のままなので、着替えてから来るそうだ。
俺は一足先に『指定された公園』へと向かった。
(確か、タコの滑り台がある広い公園だったよな……)
島の開拓が始まった際、『最初に作られた公園だ』と聞いている。
けれど今は、居住区が完成したため、そちらの方に新しい公園が造られた。
そのため島民の間では、あまり使用されてはいなかった
島なので治安は悪くないだろう。
けれど、女の子を夜の公園に一人、待たせる訳にはいかない。
俺は指定された時刻より、早めに着くように寮を出た。
(涼しい……)
夕方になり、風が出て来たようだ。
日中の蒸し暑さは
寮から公園へは下り坂なので、自然と足が速くなる。
着く頃には暗くなるので、懐中電灯を用意していた。
住宅街の方は明るいようで、人々の営みが感じらる。
公園へ着くと、
外灯があるため、思ったよりも暗くはない。
「菊花……」
俺が声を掛けるよりも早く、
「あっ、センパイ……来てくれたんですね!」
と彼女は涙ぐんでいる。俺が『来ない』と思っていたのかも知れない。
その腕の中には『お姉ちゃん』が抱きかかえられていた。
「大丈夫?」
俺が慌てて駆け寄ると、
『大丈夫じゃないわよ!』
とお姉ちゃん。大分、お
『見なさいよ、ここ! ハゲちゃったじゃない……』
「センパイ、ごめんなさいっ!」
と菊花が頭を下げる。
突然の反応に俺は戸惑ったけれど、
「もしかして【呪い】のこと?」
そう聞き返す。すると菊花の顔は
「本当に、ごめんなさいっ!」
再び頭を下げるのだった。
やはり、彼女が【呪い】を掛けた訳ではなかったようだ。
「大丈夫だよ、気にしてないから……」
そんな俺に言葉に反応したのは菊花ではなく、
『あんたが【呪い】を返した
と黒猫。朔姫の予想通り、犯人は『お姉ちゃん』だったらしい。
(朔姫が笑いを
どうやら【呪い】を
(それで怒っていたのか……)
俺は納得する。
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