第15話 面倒な女子と関わったのう
「も~、遅いのじゃ♡」
と
理由は分からないけれど、機嫌がいいように見える。
「分かっておる、
このテクニシャンめ!――とよく分からない勘違いをしているらしい。
朔姫は俺の首に腕を回すと抱き着いてきた。
大きな胸が当たるし、暑いので
「教室では冷たい態度をとって悪かったのう……」
と身体をクネクネとさせた。シャンプーの香だろうか?
フローラルな香りが鼻を
(別に『いつもと変わらない態度だった』と思けど……)
それよりも――
(
【神気】というのは相変わらず、俺には見えない。
けれど、表情や仕草から、その位の変化は理解できるようになった。
彼女は笑顔を浮かべていけど、同時に
「ちょっと、変った子がいてね……」
俺は説明しながら、朔姫を引き離そうとした。
けれど、なかなか離れてはくれない。
――
「ふふふっ♪ 照れるでないわ……カワイイ奴め♡」
そう言って、今度は背中に回り込むと負ぶさってきた。
小柄なので動きも素早く、小回りが利くのだろう。
(
俺は彼女を引き
「う~ん、残念じゃ……」
そんな事を
やっと解放された。しかし、これで終わりとも思えない。
「で、
と朔姫。
(はて? 俺は名前まで話しただろうか……)
神月さんに視線を向けると、コクコクと
どうやら、有名人らしい。
(まぁ、あの格好ならそうか……)
【魔女】が
その色は紫で、花の
所々にはフリルがあり、アクセントになっている。
目立つとかの話ではないだろう。神月さん達が理解した事に、俺は納得する。
「いや、
俺はお弁当の包みを開けながら答える。
そして、
白いご飯の上には『桜でんぶ』でハートが描かれていたのだ。
(とんでもない事をしてくれる……)
当然、朔姫と神月さんのお弁当には、そんな細工はない。
「嬉しいか!
沈黙している俺に対し、朔姫は嬉しそうに質問する。
俺は
「そうだね、美味しそうだね」
と言って
誰にも見られなかったので、今回は『よし』としよう。
(次からはちゃんとお弁当を確認しないと……)
「うむっ! では
朔姫は――あ~ん♡――と言って、お弁当のオカズを俺の口元へと運ぶ。
(お弁当の中身は同じなのだから、意味がない気もするけど……)
俺が食べようと口を開けると、
「そ、それは私の役目です!」
と神月さん。立ち上がると
そして、当然のように目の前にオカズを運ぶ。
しかし恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして、目を
(そこは目だから、危ないから……)
ぷるぷると手が震えている。
仕方なく、俺は二人が差し出したオカズを食べる事にした。
「どうじゃ、
と朔姫。
「いえ、私の方が
神月さんはそう言って
二人の間には、バチバチと火花が散っている。
(だから皆、同じお弁当なんだけど……)
このままだと、俺が三人分の弁当を食べる
――考えろ、考えるんだ……俺!
「じゃ、じゃあ――お返し……」
俺はまず朔姫に――あ~ん――をした。
感情を殺すのは得意だ。冷静に対応する。
「うむっ!
朔姫はそう言って頬を
(いや、それ夕飯の残りだよね……)
今度は神月さんの番だ。朔姫を
正直、俺も恥ずかしいのだけれど、神月さんに――あ~ん――をした。
「ほっぺが落ちそうです」
と神月さん。
(玉子焼きだよ? 朝食でも食べたよね……)
取り
後は素早く、お弁当を食べるくらいしか策はない。
「ところで朔姫……」
俺の
「
彼女は受け答えと同時に、オカズを差し出してくる。
「
そう質問つつ、オカズを
神月さんも
(だから、そこは目なんだけど……)
やはり早く、お弁当を食べた方が良さそうだ。
「うーむ、昔から島には
そう言って一旦、朔姫は
「
俺が首を
「その昔、【魔女】と名乗る存在が島に流れ着いたようじゃ」
と教えてくれる。
その口調から察するに、朔姫も誰かから聞いた話のようだ。
「じゃあ、彼女は【魔女】の
俺が再び、質問すると、
「さあのう……」
「もし『術士』だったら『神月さんを助けて
俺の言葉に、
「どうじゃろうな? それより……」
朔姫はそう言って、ミートボールを
(
俺が注意するよりも早く、神月さんがチョップを
頭を
俺は彼女が
「朔姫、調子に乗り過ぎ」
俺の
「うむっ!」
と目に涙を
「神月さんも、食べている時に暴力はいけないよ」
そう言って注意をする。
「はい……」
ごめんなさい、朔姫――と神月さんは謝った。
「
朔姫も謝った。どうやら、これで一段落のようだ。
「しかし、面倒な女子と関わったのう」「そうですね……」
朔姫の
もしかして、倉岩さんの事を言っているのだろうか?
(どうやら、この二人には自覚がないようだ……)
俺の災難は続く――
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