第12話 そういうモノかな?
あの後、俺は
同時に【
「ん? 分からんのか……
この
自信満々に胸を張る。
「ごめん、まったく分からないよ」
取り
「まぁ、分からんからこそ……」
今、俺達が居るのは食堂だ。お昼を食べる
今日は汗を
ただ、女子二人なので、そんなには食べないだろう。
案の定、二人には丁度いい量だったようだ。
(この辺は少しずつ覚えて行こう……)
学校を卒業するまでの三年間は、一緒に暮らす可能性がある。
そんな事を考えつつ、
「つまり、その【
俺の質問に、
「そうなるのう……」
と言って、お茶を
俺は少し考えた結果、
「じゃあ、俺が一緒だと【
質問を変えてみた。しかし、
「少し違うのう……」
と朔姫。続けて、
「奏が落ち着いたり、安心したりすると【
そう語る。どうやら今は、俺が神月さんにとっての『精神安定剤』のような存在になっているらしい。
「小学生の頃までは、家族といる事で安定していたようじゃが……」
朔姫が急に声のトーンを落とす。神月さんも
「まさか、家族に
俺は真剣な表情になる。
だとすれば、神月さんが家族の事を話したがらない事にも納得が行く。
「いや、思春期特有の症状じゃ」
朔姫が冷静に返すと、神月さんは顔を赤くした。
特有の症状というと『アレ』だろうか?
「お父さんのパンツと一緒に洗わないで!――とかいう『アレ』?」
そう言って俺が首を
どうやら理由もなく、お父さんが嫌われてしまう『アレ』らしい。
(男子も反抗期になると、急に母親の事を『ババア』と言ったりするしな……)
――『厨二病』になるよりはマシだろうか?
俺も親元を離れたかったので、神月さんの事をとやかく言えない。
人間には、一人になる時間も必要だ。
「暗い話じゃなくて良かったよ……」
俺はそれだけ言うと、冷蔵庫から『杏仁豆腐』を取り出した。
二人が喜ぶと思い、作って冷やしていたのだ。女子二人の目の色が急に変わる。
――
さっきまで『お腹はいっぱい』みたいな感じだったのに、二人は――ペロリ♪――と平らげてしまった。
――やはり女子という生き物は、よく分からない。
◇ ◇ ◇
午後になり休憩を取った後、俺は印刷した紙をクリアフォルダに入れ、目の付く場所に貼り出した。お風呂の時間や当番などを忘れないようにする
大きめの文字で、重要な箇所は赤字で印刷しておいた。
「ふむふむ、気が利くのう……」
と朔姫。いくら『付き合っているから』といっても、男女が一つ屋根の下に住んでいるのだ。ルールを決めて守らなくてはいけない。
電気の確認や鍵の使用状況、道具の貸し出しを確認する『チェックシート』も作った方がいいだろうか?
「昼食時にも、冷蔵庫に
メモ用のホワイトボードと『閉め忘れ注意』と書いた紙だ。
他にも中に
「なぁ、朔姫……」
神月さんは俺の
「
と朔姫は面倒そうな顔をしたが、
「多分……今、お
そう答えた。
――俺がしている事?
注意書きを貼る事で『女子に好かれる』とは思えない。
俺は――分からない――と顔に出していたのだろう。
「やれやれ、仕方のない奴じゃ……」
朔姫はそう言って、肩を
「普通の人間は頼まれても、なかなか他人の
特に奏のような存在の
「そういうモノかな?」
俺の返答に――そういうモノじゃよ――と朔姫。
神様が言うのであれば、そういう事にしておこう。
一通り作業が終わると、俺は畑仕事を再開する。
今度は軽く掘り起こす作業だ。
(土が柔らかい……)
ガスや水道の菅は通っていないようだ。
「手伝いますか?」
と神月さん。俺は首を横に振ると、
「今日も釣りに行こうと思うけど、一緒に行く?」
そう言って誘ってみた。
「はい!」
と彼女は返事をする。
今日は仕掛けを変えて、外海の方で大物を狙ってみてもいいかも知れない。
大きめの竿と
針と糸、それに『おもり』もあるので、内海で釣った魚を
俺達は自転車を準備すると、昨日と同じように海へと出掛けた。
(筋肉痛ではあるけれど……)
――これを繰り返していれば、その内、平気になるだろう。
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