第45話 豪邸の守りと到着(一旦完結)

 薪も大量に作り、明日からの分も十分にあると思った俺達は家の中に入った。


 ミナとアカネちゃんは既に料理を作り終えて、ちょうどテーブルに並べていたので、俺達も手伝おうとしたら、ミナに


「皆、そのまま触っちゃダメ!」


 と言われてしまった。あ、そう言えば手も洗ってないな。俺達は慌てて手を洗いに行こうとしたけど、ミナが衛生をかけてくれた。


「ゴメン、ミナ。有難う」


 俺が礼を言うとミナはニッコリと微笑んでどういたしましてと言う。ソレを見たリュウキさんとオウキさんは、リア充、爆発しろ! と声をハモらせていた。


 料理は異世界人であるアラン、リュウキさん、オウキさんにも大好評だった。肉じゃが、ほうれん草のおひたし、出汁巻き卵、トンテキ、白米、味噌汁のTHE日本食だったけど、皆が美味い美味いとフォークを動かしていた。俺、ミナ、アカネちゃんは箸を使用している。

 マロが教えてくれた食料蔵には、何と醤油、味噌、味醂、料理酒も揃っていたので、日本食が食べたくなったらこの豪邸を出せば解決する。

 更に食料蔵の横に地下蔵の入り口があって、地下二階構造の蔵は、地下一階が常時五度の冷蔵室、地下二階は常時マイナス十五度の冷凍室だった。ミナとアカネちゃんは、冷蔵室にあった豚ロースでトンテキを作ってくれたのだ。


「しかし、ナゾウもミナもアカネも器用だな。そんな棒で上手く掴めるなんて」


 アランが箸を使って食べている俺達を見てそう言ってきた。まあ物心ついた時から使用してるしなぁ。リュウキさんとオウキさんも興味深そうに見ているから、俺は三人にも箸を渡してやった。持ち方、動かし方を教えてみたら、アランはまだ少しだけぎこちないが、使用できている。コレはアレだ、アカネちゃんと同じ道具で食べたいという執念だな。

 意外とオウキさんも早かったけど、リュウキさんが……


「ダメだぁー、俺には難し過ぎる……」


 かなり落ち込んでいる。そこで俺はもう一組の箸を出してリュウキさんに渡してこう言った。


「コレを皇都で待つ侍女さんに渡して、使い方を教えられるのはリュウキさんだけです。頑張って下さい」


 その言葉に奮い立ったリュウキさんは二時間かけて使い方をマスターした。愛の力って偉大だよな。


 そして俺達はそれぞれの部屋で休み、翌朝の事だった。家の周りには魔獣と魔物が来ていた証拠が沢山あった。


「なっ! この核石かくせきはオーガの!」


「リュウキ、こっちはワイバーンだぞ……」


 うん、この豪邸の守りはかなり強固なようだ。俺とミナはコレで何処に行っても安心だな(ね)とお互いに頷きあった。というのも、皇都に着いたら俺とミナは旅に出るつもりだからだ。アランの婚約者になったアカネちゃんはアランと共に皇都に残るけど、俺達はもっとアチコチを見てまわりたいから。

 なので、ココで豪邸の守りを確認できたのは幸いだったと思う。


 そうして、俺達は夜は豪邸で過ごして安全な旅を続けて、遂に皇都にたどり着いた。そして、


「それじゃ、アラン、アカネちゃん、リュウキさん、オウキさん、ココでお別れですね」

 

 俺達は門を入って四人にそう言う。


「ナゾウ、本当にもう行くのか?」


「アラン、俺もミナもせっかくこの世界に来たんだから、もっと色々見てまわりたいんだ。勿論、アランの危機には駆けつけるよ。それと、アカネちゃんを泣かすなよ」


「それは、ナゾウに言われるまでもないぞっ! 俺はアカネを悲しませたりしないっ!」


 力強くアランが宣言する横で、ミナとアカネちゃんが別れを惜しんでいた。


「ミナちゃん、有難う。でもまた会えるよね?」


「アカネちゃん、当たり前だよ。絶対に会いに来るから」


 それから俺はリュウキさんとオウキさんにお礼を言う。


「ココまでの道中でお二人には色々と教えて貰いました。本当に有難うございます」


 そう言って深々と頭を下げたら、


「ナゾウくん、それは俺達も同じだよ。本当にお世話になった。これから、ミナちゃんと二人旅になるけど、道中気をつけてな」


「ナゾウくん、君に貰った箸で俺は看板娘と付き合ってみせる。だからソレを確かめにまた会いに来てくれ」


「ハハハ、それは楽しみです。必ず確認に来ますよ」


「心配いらんぞ、二人には我もついているからな!」


 そう、マロは俺とミナについてくる気らしい。よほどミナの料理が気に入ったようだ。


 そして、俺とミナは皆と別れて冒険者ギルドで核石かくせきを買い取って貰い、皇都から一番近い海側にある大きな都市を教えて貰った。そう、もう限界だったのだ。俺もミナも。

 心と体が海の幸を求めているのだ。


 宿でミナが、


「ナゾウ、これから二人だけどよろしくね。私もナゾウの助けになるように頑張るから」


 そう言うので、俺は


「ミナ、ミナが居てくれたら俺は誰よりも強くなれるんだ。だから、コレからも俺の側に居てくれ」


 そう言って優しくキスをしてベッドに二人で倒れ込んだ。


 明日からの新たな冒険に胸を踊らせながら。








(作者より)


長く更新も出来ずに申し訳ありません。この物語はここで一旦完結とします。

また、日を改めて続きを書き始めるつもりではおりますが、一旦締めさせて下さい。

よろしくお願いします。m(_ _)m   


追記

マロを忘れてたので登場させました。付け足しのようになってしまった……(-_-;)

 

  


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役立たずと言われた技能【強】を極めたら最愛の人を護れました しょうわな人 @Chou03

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